アルタ・スキー・エリア

Alta Ski Area
Utah, USA

Introduction / スキー場の特徴


正面にそびえ立つアウフズ・ハイ・アルスター
 はるか高き降雪量と低く低く押さえられたリフト代。それがアルタの代名詞である。年間の降雪量を見ていただきたい。平均で500インチは全米でも屈指の数字である。この恵まれた降雪量だけで、古いリフト、週末の長いリフトラインといった不平・不満を補って余りあるのである。パウダースノーを楽しむチャンスの最も多いスキー場の一つである。しかも大規模に近い規模・内容をもつ、大変におもしろいスキー場である。

 アメリカ国内のいわゆる大規模スキー場と呼ばれるスキー場では1日のリフト券が93ー94シーズンで40ドルから45ドルなのに対してこのスキー場は23ドル。94ー95年のシーズンも50ドル弱という値段が登場しているのに25ドルという値段を維持しているのはまさに庶民の味方。単に値段が低いだけならば他にも安いスキー場は多々ある。しかしこのスキー場の凄いところはいわゆる大規模スキー場並のコース内容を揃えているのにもかかわらずこの値段を維持していることである。



Photo by Alta Ski Area
 ユタ州の州都ソルトレイクシティーから車で30分ほどに位置するアルタスキー場。周囲のスキー場に比べるとややマニアックなスキー場かもしれない。ボウル、斜度共に一級品である。そして急斜面の中には斜度のみならず岩・木などの障害物が多くあるものや、滑っていて思わず「まだあるの!」と叫んでしまうほど長いものがある。
しかもそういった意中のコースへたどり着くためにはボウル状のオープンスペースをかなり横切(Traverse)らなければならない。もちろん迂回する中級コースも非常に長いコースになる。その器のなかに500インチという山盛りの雪が盛られるのである。面白くなかろうはずがない。滑り出しはまさに「キャッホー」である。
ところがこの降雪も多すぎると大変なことになる。日々、程よく積もってくれればよいのだが、何事もままならぬのが世の常。ドカ雪の為に道路閉鎖、リフト閉鎖、コース閉鎖などがままある。コース閉鎖が解けても油断は禁物である。

 筆者が初めてアルタスキー場を滑った93年のシーズン。ドカ雪後、アバランチコントロールを終了し、オープンしたコースで新雪・深雪の中で腰まで雪に埋まってしまい、脱出するのに四苦八苦した経験を持つ。
長いトラバース(横切り)を経てノース・ラスターのエリアまで来たときである。アバランチ・コントロールを施した部分は人工的に起こされた雪崩の為に密度の高い、非常に重い新雪・深雪状態になっている。しかしその隣はフカフカの密度の低い、軽い新雪・深雪状態である。そのフカフカの新雪・深雪状態から重い新雪・深雪状態へ突っ込んでしまい、動きがとれなくなってしまったのである。雪中でスキーはつき刺さる、腰近くまで埋った体は動かない。にっちもさっちも行かないとはまさにこのことである。
腕だけは自由が利いたので後は辛抱強く自分の体を掘り起こすことに専念したが、当初はかなりパニック状態に陥ってしまった。何事も油断大敵である。

スキー場名      リフト料金 ゴンドラ 高速リフト 敷地面積   人工造雪普及率
Alta, UT           25.00          0           0      890ha          1.30%
Killington, VT     46.00          1           2      348ha         60.60%
Vail, CO           48.00          1           9    1,624ha          8.27%    
Park City, UT      47.00          1           2      890ha         20.00%
Heavenly, CA       44.00          1(トラム)   3    1,943ha          5.00%  

アメリカで2番目に古いリフトの実物
 1938年の創設以来、アルタスキー場は素晴らしく魅力的なスキーコースに最低限の搬送機設備を整え、あらゆる無駄を省いてリフト代金の低価格を維持しているスキー場といって良いだろう。
 たとえばリフトについてはやや時代遅れの感を拭えない。他のスキー場がカラフルなゴンドラや4人乗りの高速リフトをどんどん導入していることを思えば、いまどき2人乗りのチェアーとチェアーの間隔が広い非常にスローな旧型リフトを目の前にするといささか時代錯誤の感がある。
搬送能力が低いからすぐにリフト待ちの列がのびるが、その列に並ぶと2〜30年タイムスリップしたような錯覚に陥る。表を参照していただきたい。搬送機を更新し、人工造雪機能を整えれば整えるほど、それに比例してリフト料金も上がっていくのが良くわかる。
ベースロッジにしても決して豪華なものではない。山の中腹にあるロッジも同様。何重にもペンキを塗り重ねられた柱や壁。しかしそこには非常にノスタルジックな雰囲気とでもいおうか、ホッとさせてくれる暖かさがある。

 スキー場職員の話では1992年のシーズンまではクレジットカード会社に支払う手数料を嫌ってリフトチケット販売に際してはクレジットカードすらとらなかったとのこと。さすがに時代の流れには抗しきれず、93年からはアメリカン・エキスプレス、ビザ、マスターなどのメジャークレジットカードは取り扱いを始めた。

 スキー場がシーズンオフに行う各種の改良事業にもその地味さ加減は現われる。秋口になるとワールド・スキークラブにも各スキー場から次のシーズンに向けてのパンフレット・トレイルマップと共に各種情報、ニュース、報告などがパッケージになって送られてくる。他のスキー場が華々しく『何千万ドルをかけて・・・を新設』というのに対し、アルタは『リフトチケット売り場の建物のドアを自動ドアにしました。』といった類の非常にマイナーな改良に終始しているのである。

崖の上から景色を楽しむ
Photo by Alta Ski Area
 あるスキー雑誌のインタビューの中で、創設者であり現在も大株主としてアルタスキー場に君臨するロウフリン氏は次のように答えている。「アルタはいつまでもそのままのアルタであり続ける」と。

 別のスキー雑誌に掲載されたアメリカ人スキーヤーの投書文がアルタを如実に表している。"pure skiing with no frills"『純粋にスキーを、飾りはいらない』とでも訳そうか。

 今一つ、いま流行のスノーボードは禁じられている。この面でもスキーヤーの為のスキー場であることに徹している。新しいばかりが、新しいものを導入するばがりが、きれいであることばかりが、近代的であることばかりが能ではない。スキーヤーが純粋にスキーを楽しむ為のスキー場。それがアルタスキー場である。


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