アラパホベイスン・スキー・エリア

Arapahoe Basin Ski Area
Colorado, USA

Introduction / スキー場の特徴


北アメリカで最も標高の高いリフト
スキー場の内容を評価するときに数字で表されたデータがいかに当てにならないかを証明するようなスキー場である。標高、滑走可能面積、人工増雪機能、リフト・ゴンドラ・ロープトウなどの搬送能力、スロープサイドの宿泊施設、レストランの数、ベースロッジの施設内容といった規格化された数字などを見る限り、『極めて高い場所にある小さな、つまらなそうなスキー場』という評価が出てしまうのではなかろうか。
無理もない。まことにもって無理もないのだが、とんでもない。素晴らしいスキー場である。いわゆる都市型スキー場のため、宿泊施設やナイトライフ施設などリゾートとしての要件こそ備えていないがゲレンデに関して言えばそのおもしろさは、特に上級以上のスキーヤーにはよだれが出そうな程である。



目も眩むようなリフト下の急斜面
 ベースエレべーション(ベースロッジの場所の標高)でさえ1万フィート(約3000メートル)を越してしまっているため宿泊施設をつくるには無理があったこと、キーストーンスキー場のオーナーに買収され、上級者用コースを受け持つということでキーストーンスキー場の一部を担うことになった為、特に宿泊施設を新設する必要がなかったことなどにより、このスキー場単独ではいわゆるリゾートとしての環境を整備するにいたらなかった経緯がある。

 リフトそのものも決して新しいものではなく、いやむしろダブルチェアーの古くさいリフトといったほうがよいだろう。おそらく北アメリカ大陸内のスキー場で最も高い所にあるリフトではないだろうか。そしてリフトに乗り、スキー場の中央を占めるボウルの中央を突っ切る間に青い空を見上げると、北アメリカで最も高いところにあるリフトに乗っているんだという高揚感は他では得られないものである。
リフトを降りて山の裏側の展望のきく所へ移動すると隣のキーストーンスキー場、ブリッケンリッジスキー場がディロン湖やシルバーソーンの町と共に眼下に一望できる。この景色も素晴しい。


名物、パリバチーニボウル入り口
 バックカントリースキーのメッカでもある。隣のキーストーンスキー場がこのスキー場のアクセスロード入り口といった面持ちである。その登り坂のアクセスロードの途中にスキーやスノーボードを抱えた連中がよく立っている。アラパホベイスンのスキー場からコース外、スキー場外の自然のコースを滑り降りて、またスキー場に戻るためのバス待ちをしている連中である。キーストーンスキー場とアラパホベイスンスキー場の間を連絡する無料シャトルバスがその任に当たるし、道行く車が拾ってくれることもある。

 雪崩、滑落その他あらゆる種類の事故と背中あわせとなるバックカントリースキーである。スキー場コース外であるからもちろんスキーパトロールの定期パトロールの恩恵にもあずかれない。それ程のリスクを背負っても森の中、林の中、急斜面や崖、そしてなによりも新雪深雪を求めてスキーヤー・スノーボーダーは自然の脅威のなかへ入り込んでいくのである。よほどの準備と経験ある指導者による指導や熟練度が要求されるところである。
残念ながら過去何年間かに筆者がこのスキー場で滑った10日にも満たない日数の内、なんと3日もその事故に遭遇し、救助隊の車を迂回したり、ニュースで不幸な結末を知らされることになった。
特にそのうちの一件は、ベテランのスノーボーダーがたまたま、本当にその日に限ってたまたま通信機を携帯していなかったために雪崩に巻き込まれた際にその位置を知らせることが出来なかったがために起こった非劇であった。

 状況不案内、地理不案内がついてまわる日本からのスキーヤーにはあまり、というかほとんどあすすめは出来ないが、もしも実行する場合には装備面での十分な準備、経験豊かな技量の十分にある指導者のもとで実行することをおすすめする。


覚悟してお入り・・・
上方にそびえる大壁への入り口
 スキー場外のコースの荒々しさに比例してスキー場内の急斜面のコースとボウル状の広いコースのおもしろさは圧巻である。腕に覚えのあるスキーヤーには是非お薦めしたいのがパリバチーニエリア。リフト下の斜めに傾(かし)いだ斜面もさる事ながらその下にストーンと落ちるが如くにしかも木々の枝が障害物になっているコースは凄いの一言に尽きる。『あそこでこけたら2〜3回転してあの辺の木の枝にひっかかって身動きがとれなくなるだろうな・・・』などとおもわず身震いするようなことを考えてしまう。
このリフトの頂上に上げれば上がったですり鉢状の急斜面、パリバチーニボウルがぽっかりと口をあけている。このリフトがサポートするこのエリアだけで上級、エキスパートスキーヤーは心から満足してしまうようである。いや実際、筆者もなんという充足感に酔いしれたことか。ちょっと大げさかな 、とお思いの向きもあろうが、その後に襲ってくる強烈な疲労感を考えればうなずけるところである。


危険防止の為、
入り口指定のあるイーストウォール
 いわゆるローカルと呼ばれる地元スキーヤーが多いのも特徴。仮に新参者がリフトに乗ってもチェアーからの眺めで怖じけずいてしまい試合放棄、つまり反対側の中級斜面へ逃げていくケースもままあるのである。 『 ローカルのスキー馬鹿の競演』とでもあらわそうか。おかげで混まないトレイルとうのがこのスキー場の代名詞といってもよい。

 アバランチコントロールのための大砲が随所に見られるのもこのスキー場の特徴である。特に頂上に向かって左側にそびえ立つイーストウォール への雪崩処置のための大砲が黒いシートをかけられて台座と共に見られるのもなかなか珍しい光景かもしれない。

 内容、環境、施設、滑っているスキーヤーのどれをとっても一味も二味も違う、一風変わったスキー場である。決して初心者、初級者スキーヤーにはお勧めはしない。ただしガッツのあるスキーヤーならば別だが。腕に覚えのあるスキーヤー、スノーボーダーには是非お勧めしたいスキー場である。


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