ビッグスカイ・スキー・エリア

Big Sky Ski Area
Montana, USA

Introduction / スキー場の特徴


ローンマウンテンを遠望する
 『でっかいぞー、北海道!!』その昔、筆者が日本にいた頃、各航空会社が主催する北海道スキーツアーのキャンペーンのコピーである。言葉をもじって『でっかいどー、北海道!!』だったかも知れない。
北海道生まれの北海道育ちの筆者には『本州の人にはそんなものなのかな』と不思議なおもいをした記憶がある。とはいうものの、物心ついて本州に移り住み、限られた土地にひしめくようにして人が住む大都市の様を目のあたりにするにつけて、大都市に住む人が北海道を見知ったときの新鮮な感激・感動の素晴らしさを上手く伝えた名文句だったんだと改めて感心したのも事実である。

 さてビッグ・スカイスキー場。正直言って、筆者はどういう表現を用いてこの感動を表せばよいのか困っている。
『Big Sky』、地名であるだけでなく、モンタナ州の自動車のナンバープレートにも書かれている州のキャッチフレーズでもある。ボズマンの町から車を走らせスキー場のアクセスロード入り口に至る。スキー場にお決まりのコンドミニアム群が見えてきたりする。次第に上り坂が急になってくる。ここまでは何のことはない、普通のスキー場と同じである。
ところがスキー場の入り口にたった瞬間、このビッグ・スカイという言葉がそのまま、本当にそのまま目の前に広がるのである。すぐ手前にはゲレンデサイドのホテルやコンドミニアム群、その向こうに木々の緑とトレイルコースが緩やかに『昇り』の景色を呈し、それに連なる上部には険しさがひときは目立つローン・マウンテンの冠雪した頂、そしてその背後には真っ青な空が果てしもなく広がっていくのである。
このスキー場がスキー雑誌などの広告に必ずといって良いほど使用するスキー場の写真の構図と全く同じである。当り前のことだし、予想していたことだし、見慣れていたはずなのである。しかし実際に目の前にそれを突きつけられた素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。見た瞬間、これほど感動させてくれるスキー場も少ない。


『よくもこんな所に』と言いたくなる
絶壁に取り付けられたゴンドラ
 山が、ローン・マウンテンの頂が実に美しいのである。山の頂が尖った山といえばヨーロッパのマッターホルンがすぐに思い浮かぶがそれとは違った意味で印象的な形状である。
三角錐のような頂上は左右の二面とも非常な急斜面で特に右サイドは多くの岩肌が露出し、切り立った崖は人間を容易に寄せ付けそうにないし、左側はほぼ一面、冠雪して真っ白である。なぜこれほど美しいのか。
たとえば日本の富士山が美しい理由を考えればよい。日本では最高峰とはいえ末広がりのその姿は周囲にその美しい姿をさえぎったり、比肩しうるものが一切ないのである。しかも頂上付近の冠雪は神秘的でさえある。
このローン・マウンテンもまた同様の要件を備えている。ただし富士山のごとく完全に孤立したようにただ一つそびえ立つという分けにはいかないが、少なくともスキー場の中心としてそそり立つ姿は広いスキー場のほとんどの場所から眺望が可能である。そしてローン・マウンテンの山の頂上がその姿・形からまるでスキー場のシンボルのようになってしまっているのである。

 大抵のスキー場には何らかのシンボルがある。たとえば町中にあるいはスキー場のビレッジに時計台をつくることによってそのスキー場独特の雰囲気を醸し出そうとしている。
ストラットン、オキモ、ヴェイル、ビーバークリークと数え上げれば切りがない。他にも色々とある。不夜城のカジノであったり、満面に水をたたえる湖であったり、冬季オリンピックの開催の歴史であったり。そしてそれらは訪ねきたスキーヤーをしてそのスキー場独特の雰囲気、あるいはそのスキー場らしさを充分に演出してくれる。
このスキー場はなんら労することなくそのシンボルを、しかもスキー場には山、ということを考えればごくごく当り前のものを手に入れたようなものである。


パトロールの許可が必要な絶壁コース
 大空に向かって突き出している頂上付近のその急激な斜度が幾分やわらぐ根元のあたりまでスキー場のリフトやゴンドラがスキーヤーを連れていってくれる。このローン・マウンテンの頂きを背にというか仰ぎ見ながらスキーヤーは思う存分スキーを楽しむ、といっていたのが1994ー95のシーズンまで。
95ー96シーズンから様相が一変した。今までは眺めるだけであった斜面を滑ることが出来るのである。スキー場のシンボルとして、従来は仰ぎ見るばかりでとてもスキーヤーを寄せつけそうになかったローン・マウンテンの頂上から滑ることが出来るのである。

 急斜度などとは通り超した、切り立った、険しい崖にローン・マウンテンの頂上に向かってトラムを設置したのである。頂上駅から崖下の駅を見下ろすと足がすくんでしまう。何かにつかまっていなければクラクラッとめまいを起こして吸い寄せられるように転げ落ちてしまいそうな崖なのである。
それまでは本当のパウダー・ハウンダーだけがスキーをかついで山の峰を迂回しながら何時間もかけて登っていた山の頂上へ15人乗りのトラムが数分で駆け上がるのである。

 まさに幾筋にも分かれた谷間というか割れ目や崖の上を駆け上がるという表現になる。しかもその割れ目の幾つかはコースに指定されているのである。
その反対側はほぼ全面が滑走可能区域ではあるが、これまた35度以上の急斜面なのである。にもかかわらずたっぷりとした横幅とあけすけなまでのコースの長さは滑るものの斜度感覚が麻痺させてしまう。スキーの板を細かくターンさせたときに困難さを感じてはじめて斜度のきつさを認識するありさまである。息切れがどうにもならず、とにかく一服と立ち止まって上を見上げたときの驚きと充実感は格別である。
『よくもまあ、こんなところを降りてきたもんだ』という感慨にも近いものがある。


エキスパートオンリー!!
 見られるだけの象徴から実際に滑れるエキスパートコースとしての対象へ。美しきビッグ・スカイ。雄々しきビッグ・スカイはモンタナ州の象徴でもある。



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