ザ・キャニヨンズ・スキー・エリア

The Canyons Ski Area
Utah, USA

Introduction / スキー場の特徴


アクセスロード入り口の看板
安いリフトチケット代を宣伝している
 『有名大規模スキー場の陰にあって何をやっても評価してもらえない気の毒なスキー場』。一言でこのスキー場を言い表せ、といわれるとこうなってしまう。それがこのウルフ・マウンテンスキー場である。ソルトレイクシティーからインターステイツ80号線を東に向かい車で小一時間の場所にあるパークシティーの町。その周辺にある3つのスキー場の一角をなす。しかしお隣のディア・バレー、パークシティーといった全米にあるいは世界的に名の通ったスキー場に比べ、ウォルフ・マウンテンは余りにも知名度が無さ過ぎる。

 筆者が初めてこのスキー場を訪れた折り、とある日本人グループと一緒になった。5人のグループでソルトレイクシティー空港からレンタカーを借りて、パークシティーに滞在し、ソルトレイク近郊の各スキー場を滑り歩いているとのことで、前の日にスノーバードでトラムに同乗して顔見知りになっていた人たちである。
「今日はここですか」「ええ、雪のためにアルタへ通じる道が閉鎖になってしまいしかたなくここへ来たんです。」という返事だった。その程度の意識しかもたれないスキー場であるのは確かなようである。筆者にも原因がよくわからない。

 知名度が低すぎるどころか経営の面でも非常に苦しい歴史をもつスキー場である。『売却、売却、倒産、会社更生法申請、売却、スキー場名変更』。筆者がこのスキー場を知ってからでさえこれだけの動きがあった。もともとパーク・ウエストスキー場(Park West Ski Area)とよんだ記憶がある。友人が「オーナーが2回変わったんだけど結局倒産したみたいで・・・」「倒産後の新しいオーナーは・・・」、そして「あれっ、いつのまにか名前が変わってる」といった具合である。


スノボードパーク
 スキー場側もとにかくリフトチケットの値段を下げて客を呼ぶのに必死だったように思う。インターステイツ80号線を降りて最初の交差点がこのスキー場への入り口である為もあり、真っ先に目に付くのがこのスキー場のリフトチケット代を宣伝する横段幕であった。
隣のディア・バレースキー場やパーク・シティースキー場に比べると、『スキー1日23ドル』といった極端に安い値段を提供していた。しかし高速道路を降りた車はこの垂れ幕に引き寄せられることなく奥のパーク・シティーやディア・バレーへ向かってしまうのである。そしていつしかリフトが1基止まり、2基止まり・・・・といった具合である。

 スキー場周辺には多くのコンドミニアム群がひしめいているし、パークシティーの市街地は目と鼻の先である。いや、むしろパーク・シティー市の一部であり、その一翼を担っているスキー場のはずなのである。もちろん大都市ソルトレイクシティ−をすぐそばにもつ。これほどの条件が揃っているにもかかわらずうまくいかないスキー場なのである。


新たな客の開拓につながるか?:屋内スケート場
 ネガティブな面ばかりを強調したがゲレンデ内容としては決して悪いものではない。ものによっては非常におもしろいコースもたくさんある。初めて滑った日、確かに大雪の後で、パウダースキーを楽しめた日ではあった為、通常以上に楽しい印象を持ってしまったとも考えられる。しかしそれだけでスキー場全体の評価が変わってしまうほど世慣れしていないスキーヤーでは無いつもりである。しかもスキー場全体をすみからすみまで、くまなく滑ったのである。つまらないスキー場をしらみつぶしに滑るというのはまず無理であろう。日長一日を過ごさせてくれるだけの魅力のあるスキー場であるのは間違いない。

 ただ全体的にコースに特色がないかもしれない。このスキー場ならでは、という売り物になる何かがかけていたように思う。たとえば隣のパーク・シティーならば頂上付近に大きなボウルがあるし、ディア・バレーにもボールド・マウンテンと呼ばれるエキスパートコースがある。特にパーク・ウエストなどと名乗っていたのでは、中味以前の問題としてあからさまにパーク・シティースキー場の付け足しのイメージである。ロッジで食事をしていてもちっとも楽しくないあるいはコンフォータブルではなかったのを記憶している。


スノボーダーの支持が得られるか
Photo by Park City Chember of Commerce
 改名した95年のシーズンの後、96年のシーズンに再訪してみた。ベースロッジそばに屋内スケート場をつくったり、ウォルフ・リゾートとして専用シャトルバスを走らせたり、生き残りをかけて(?)頑張っているように見受けられる。
スノーボード滑走OKというこのスキー場のポリシーがこの地区のスキー場としては際だっている。事実、安いリフト券とも相まって、若いスノボーダーの数が大変多かった。90年代以降のスノーボード・ブームにのって活路を見いだせるかも知れない。隣のパークシティー、ディア・バレーがスノーボード禁止スキー場なのである。スノーボードパークの充実、スノーボード・スクール、スノーボード・レンタル等、ウォルフ・マウンテンならではの特色を出せれば『スノーボーダーのための山』として認知されるであろう。そうなればパークシティー地区のスキー場『三役そろい踏み』という嬉しい現象ができるかもしれない。

 ことは又、一転する。アメリカ北東部に基盤をおく、スキーリゾート経営会社、アメリカン・スキーイング・カンパニーがこのスキー場を買収したのである。それにともない名称もザ・キャニヨンズスキー場と変更された。従来の個人投資家による買収と経営不振に伴う売却劇とは異なり、大資本による将来を見越した、将来への開発発展を念頭においた買収である。名称の変更以上に内容の劇的な変化が予想される。今後に期待したい。



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