グランドターギー・スキー・エリア

Grand Targhee Ski Area
Wyoming, USA

Introduction / スキー場の特徴

 

 『雪深き険しき山の中にある絶好の隠れ家』。スキー場のベースロッジにあるレストランで、暖炉の火に当たりながら、優雅な朝食をとりながらそして窓の外にさんさんと降り積もる雪や真っ白な雪景色を眺めながら思いついたのがこの言葉だった。

今をときめく売れっ子作家でもいい。あるいは作曲家でもいい。日常の目の回るような忙しさ、喧噪から逃れたいと願望する人が行き先を誰にも告げずにある日突然、いなくなってしまう。机の上には『しばらく休みます』と書かれた1枚のメモ・・・。テレビドラマにでも出てくるような場面だが、そんな人の行き先として絶好の場所が、もしもその人がスキー好きなら場の話だが・・・、このワイオミング州の片田舎、グランド・ターギースキー場である。


 ちょっと雪が降っただけで、四輪駆動車でなければのぼれないような険しい雪道をかき分けてスキー場に至る。小さなベースロッジを中心に幾つかのショップ・レストランが集まるビレッジ・プラザを中心に宿泊施設であるロッジが3つ。あとはわずかばかりのスキー場関連施設が点在するだけ。
夏になれば使用できるテニスコートもこの時期はどこにあるのかさえ定かではない。うず高く積もった雪の向こうから湯煙があがっているのを見て「あそこが温水プールかジャクジー(泡風呂)のある場所か」と見当を付ける。それでなくとも静かな山の中だが、積もった雪が全ての音を吸収してしまっているのではないかと思うほどんも静寂があたりを包む。

 90年代に入るまではグランド・ターギースキー場といえば、地元のごく一部のスキーヤーが通う、いわゆる『おらが村のスキー場』といった感じの極めてローカルな田舎スキー場だった。
それが現在のオーナーに所有権が変わってから様子が一変する。ビレッジプラザ内の施設が一新されベースロッジも含めて小さいながらも大変に美しい、さりとて程良く落ちつきのある素晴らしい施設へ変わったのである。田舎の宿といったイメージだった各宿泊施設も温水プールやジャクジー、はてはエステ、マッサージのサービスまでが完備したなかなか立派な施設として発展し始めた。
アメリカのスキー雑誌が毎年実施するベスト・スキーリゾート50やトップスキーリゾート70といった企画にもランクされるようになった。ただ立地条件、資金調達問題等々でその変貌ぶりはコロラドなどの大規模スキー場のように決してダイナミックなものではなく、あくまでも『田舎さ』あるいは『ひなびた感じ』を失うことのない筆者にとっては大変に好ましい変貌ぶりであった。

 スキー場は元来、新雪・深雪を求めるスキーヤー達、いわゆるパウダー・ハウンダーに強く支持されてきたスキー場である。ゲレンデ自体もそれほど大きくないし、斜面も全体にジェントルな斜度・内容である。

 ところがそれほど大きくないゲレンデを全く問題とさせないのがほぼそれと同程度の広さをカバーするスノーキャットスキーエリアの存在である。
特別仕様の雪上車でとても普通ならば足をふみこ込むことが出来ないような雪山へ乗り込み、バージン・スノー・スキーの醍醐味を楽しもうというサービスである。山あり、谷あり、森の中ありのコースの多彩さはいうまでもない。

 リフトでサポートされる場所も含めて新雪・深雪を楽しむ機会が多いスキー場の場合は斜度のジェントルさ、ある意味では斜度の甘さは意外に重要な要素となる。
上級・エキスパートコースの斜度は雪が降り積もりすぎた場合、雪崩の危険が大きく、なかなかすんなりとオープンすることがない。
オープンしたとしても斜度に負けてしまい、スキーを雪の中に留めたままターンを切って、体全体で雪煙を上げながらリズミカルに長く滑るということが出来なくなってしまいがちである。

 このスキー場のブラックダイアモンド・上級者コースは新雪・深雪での滑走を楽しむ上では理想的な用件を備えている。逆に晴天が続き、全てのコースがスキーヤーに踏み荒らされてしまい、いわゆる圧雪の状態になった場合には少々退屈なコースと言える。
スキー場を訪ねた日が新雪・深雪を楽しめる日であるか否かは神のみぞ知る、である。


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