ジャクソンホール・スキー・エリア

Jackson Hole Ski Area
Wyoming, USA

Introduction / スキー場の特徴

 スキーを楽しみたい。でもそれだけではいやだ。スキー以外の冬のアウトドアライフあるいは冬の大自然も楽しみたいという欲張りな(失礼!)スキーやにお勧めなのがワイオミング州イエローストーン国立公園に隣接するジャクソンホールスキー場である。スキー場としても一流であるばかりでなく、クロスカントリースキー、ヘリコプタースキー、スノーキャットスキーといったゲレンデ以外でのスキーの設備やサービスも充実している。
冬は道路が閉鎖されてしまうため自動車では中にはいることが出来ないイエローストーン国立公園へのスノーモービルを使ったツアーはその他のスキー場にもあるスノーモービルツアーとはひと味違った意味あいを持つ。犬ぞり、バンジージャンプ、Snuushoeing(キャノンと呼ばれるかんじきをはいて歩くツアー)などのアクティビティーやELk Refugeと呼ばれる野生動物公園といった施設まで、内容は非常に盛りだくさんである。


スノーシュー

馬そり

ムース公園

 大自然の中にポンッとスキーコースを置いてしまったといいたくなるような美しさを備えたスキー場である反面、ちょっと油断すると冬の猛威がキバをむき出して襲いかかってくる恐ろしさのある、相反する2つの顔を持ったスキー場である。山頂までトラムを利用して一気に駆け上がる。
(このトラムちょっとケチくさい。普通、リフト1日券を買うとトラムやゴンドラはそれに含まれている。しかしここは1日券の他にトラム1回毎のチケットを買わなければならない。
係員の説明を渋面できいていたら、それを察したらしい係員いわく「このトラムの全行程は大変長いし、スキーヤーはトラム利用後は山の中腹から山頂近くまでのリフトを使ってスキーを楽しむのがパターンです。」とつけ加えてくれた。
はたしてその通りにはなったがケチな筆者は釈然としない。注:1995−96のシーズンよりリフトチケット1日券に含まれることになった。)


犬ぞり

スノーモービル
トラムを降りるとそこには大きな看板が立っている。『この山は大変に高く、大きな山です。そしてあなたが今まで滑ったどの山よりも雄大な自然に囲まれ、危険がたくさん潜んでいます。くれぐれも注意して滑って下さい。』といった内容。
いささかオーバーな物言いだと思いつつ、山頂から滑り始める内にその看板のいうとおりの危険と背中合わせになるというスリリングな体験をする羽目になった。たった一人で霧に囲まれてしまい、身動きがとれなくなってしまったのである。


大袈裟な?メッセージ
 常々忘れがちではあるがどんなスキー場においても、我々スキーヤーは強風・吹雪・雪崩・濃霧といった自然の恐ろしい面と差し向かいでスキーをしている。ただし原則的に天気の良い日に滑るものだし、かりに猛吹雪だとしたらスキー場側がコースを閉鎖してしまうだろう。
あるいはたとえ吹雪だとしてもすぐそこにあるリフトを目印に下へ下へと滑っていけば必ずベースロッジにたどり着くといった具合に、ときとして脅威となる自然と我々スキーヤーの間にスキー場施設という盾になってくれるものの存在を常に感じることが出来る。ところがこのジャクソンホールスキー場の頂上付近のコースにはその盾になってくれるものが消え失せてしまうことがある。


ゴンドラ、頂上駅にて
トラムを降りてだだっぴろい山頂付近のボウルのコースをやや下ったところで、トレイルマップをひろげ「あっちはこうなっていて、こっちはああなっていて」などと一人悦に入っていたときのことである。

 それまでの雲一つ無かった青い空の向こうからそれも下の方から巨大な雲海が迫ってくるのである。あれよあれよという間に自分の立っている地点から下は一面の雲海となり何も見えないのである。
「まるで飛行機の窓から雲海を眺めるようだ」などとのんきなことを考えているのもつかの間、周囲を見回すと誰一人いない。
一緒にトラムに乗ってきたスキーヤー達はとっくに下の方へ降りていてしまっている。自分だけなのである。次第に足元から雲が上がってくる。

 いかに自分が無力な存在であるかを腹の底から思い知らされる瞬間である。それまでの暖かな太陽の日差しとは一転して冷たい、本当に冷たい白い空気が身体を飲み込み始める。
「今動いてはいけない。自分はこのスキー場は今日が初めてなのだ。コースがどうなっているのかわからないのだ。今動いてはいけない。」を心の中で繰り返しつつときを待つ。


ビックリマークも
足らない難所
 どれほどの時間がたったであろうか。やはり足元から白いもやが途切れはじめ、見る間に私自身が太陽の光に包み込まれていった。過ぎてしまえば目の前にはまたおおらかな自然がある。
ほんの何分間かの出来事である。偶然のなした出来事ではある。しかしそれをしっかりと心に刻み込んでくれるほどの素晴らしい自然がそこにはある。

 ワイオミング州という日本ではあまり馴染みの無い州にあるスキー場である。コロラド州の北に位置するこの州は前述のとおりイエローストーン国立公園を州の北西部に有する。スキー場はその南側にあるグランド・ティトン国立公園内に位置し、地図で見ると左上の片隅、左隣りのアイダホ州との州境に程近い。
この地域の中核都市であるジャクソン市を中心に市内のスノー・キングスキー場、隣村のジャクソンホールスキー場、そして山を一つ越えたところにあるグランド・タギースキー場と、3つのスキー場が軒を並べる。
ナイトスキーもあって手軽にスキーを楽しめるスノー・キング、ダイナミックな滑りを楽しめるジャクソンホール、パウダースノーのグランド・タギーというのが大まかな図式になる。

 正直な話、数字が物語るように初級者スキーヤーにはあまりお薦め出来ないのがジャクソンホールである。対象コースが全体の10%という数字もさることながら、利用できるリフトが中・短あわせて2本、コースとしてカウントできるのがベースロッジにつながる5本のみというのが大きな理由である。 量的にもそして行動範囲の面からも動きがかなり限定される、つまり『籠の鳥』といったおももちなのである。

 このスキー場を滑ろうと思うスキーヤーは、とにかく中級斜面が滑れるというのが楽しむための絶対条件である。ただしトラムに乗って頂上を極めようと思えばそれでも不十分で、きれいに滑る、かっこよく滑るなどは度外視して、とにかくブラックダイアモンドコースを滑りきるガッツと経験が必要条件になる。
なかなか手強いスキー場である。


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