レイクルイーズ・スキー・エリア

Lake Louise Ski Area
Alberta, Canada

Introduction / スキー場の特徴


看板には日本語の『ようこそ』まである
 『迷い箸』という言葉がある。食卓に並んだ幾皿かの料理のどれを取ろうかと一つの皿の上に箸を持っていっては気持ちが変わり、別の皿の上に箸を持っていく。また気が変わって別の皿の上へ・・・と食卓の上を落ちつき無く箸を動かす悪いマナーの一つである。
レイク・ルイーズのスキー場で思わずそんな行儀悪をする羽目になった。食卓でならば母親のお小言でけりも付こうが、リフトに乗ったアジア人がトレイルマップを片手に「もう一度あのコースへ行こうかな、でも今通り過ぎたコースもおもしろそうだしな、あっ、でも目の前のこのコースも滑ってみたいな・・・」などとぶつぶつやっているのである。
たまたまリフトに同乗したスキーヤーがこれまた偶然にも同宿のアメリカ人で「おまえは何をぶつぶつ言っているんだ?」ときかれるまでそれが続いていたのである。それまで隣に座ったスキーヤーはさぞかし気味が悪い思いをしただろうな、と大変申し訳なくなった。
久しぶりである。ここも滑ってみたい、あそこも滑ってみたい、あっちも滑ってみたい・・・といった欲求に駆られたのは。


スキー場正面の遠景
 初めて滑るどんなスキー場でも『あの辺がおもしろそうな場所かな』とあたりをつけられるものである。滑りはじめる前にロッジでコーヒーをすすりながらトレイルマップをじっくりとながめる。ブラックダイアモンドやダブル・ブラックダイアモンドが集中するエリアに見当をつける。
隣にすわっているスキーヤーの会話に耳をそばだてる。『こんなすごいところを滑った』といった自慢話や『こいつはどこそこでこけた、転がった』といった笑い話しの端々からコースの情報を耳にはさむ。
リフト乗り場前の電光掲示板に注意を向ける。各コースの積雪量や雪質そしてグルーミングについての情報をかいま見る。リフトで一緒になったスキーヤーとの情報交換。たった今滑ってきたばかりのコースについての情報や体験談を聞く。ときとしてこのケースが最も新しいそして正確な情報であったりする。

 そしてなによりも確かなのは地元スキーヤー(英語ではローカル・スキーヤーLocal SkierとかローカルLocalと呼ぶ)やスキー場職員からのアドバイスである。何せ彼等はスキー場のすみからすみまでを知り尽くしている。しかもほぼ毎日のように滑っているので、最も面白いコースのみならず今現在ベストのコンディションにあるコースを確実に把握している。こういった情報収集作戦により意外に自分の滑りたいコースをつかまえることが出来るものである。


頂上のJバーはときとしてワイルド
 ところがこのスキー場はそういう箇所が多すぎて迷いが生じるのである。当たりをつけたはずなのに、いざ山のてっぺんに立つと『あっちへ行こうか、こっちを降りようか、はたまたむこうへ歩いていこうか、そっちへトラバース(斜滑降)をかけて移動しようか・・・』右往左往しているのである。
それも特にバックボウル側にその傾向が強い。スキー場のパンフレットに記されたうたい文句に『Lake Louise-Three Great Ski Areas in One』とある。『1箇所に集められた3つの素晴しいスキーエリア』とでも訳そうか。
湖畔の村から見上げると、はるかにそそり立つ正面のエリア(Front Side)、その裏側に広がる展開するバックボウルズ(Back Bowls)そしてその対面に取って付けたように立ちはだかるラーチエリア(Larch Area)である。村から見上げたときのフロントサイドの第1印象もなかなかに期待させるものがある。
しかしそれ以上に、山頂に立ってバックボウルの一つ、最も奥に位置するホワイトホーン・バックボウルのはるか前方への奥行きを見渡したときの『ウォーッ』という感激、はたまた眼下にあたかも垂直に切り立つが如くのコースを見下ろしたきの『ヒェーッ』というため息、下から見上げたコブだらけのイーグル・バックボウルへの『オヤオヤッ』という呆れ返り等々、すごいものがある。
これだけ感嘆詞を連発すると向かい側に、独立して一山を形成するラーチエリアが優しく見えてしまう。

 一般的にボウルというと大変に大きく、ワイド・オープンでという印象はあるが、その反面だらだらとした鈍重な感じは否めないものである。逆に確かに急斜面やコブが密集したコースはもってはいるが、ボウルとは命名するにはあまりにも規模が小さく、場合によっては普通の斜面を少々湾曲させて大きくしたようなお粗末なものまである。
もちろんこのスキー場のバックボウルにもキャット・ウォークと呼ばれる底辺のダラダラ・コースは存在する。しかし3つのエリアに分けられるバックボウル・エリアは各々が実に特徴深くかつ充実していている。急斜面、コブ斜面、セッピ、崖、岩畑、コースの長さあるいは幅といった各要素の組合わせには大変に楽しいものがある。


本当に見事なコブが原、イーグルバックボウル
 特にウォーレン・ミラーのビデオでも紹介されたイーグル・バックボウルは名所の一つといってもよい。ビデオでは広大なコブ畑で転倒したスキーヤーが、スキーをはずしてもんどり打った状態でずり落ちるシーンを寄せ集めた、いわゆるお笑い場面集だった。このイーグル・バックボウルの真上を通るパラダイスリフトに乗ってボウルを一望するに及んで『なるほど』とおもわず納得してしまった。
一見、扇を広げたようなボウルは全面にコブの模様が入る。しかもその真上にはパラダイス・トリプルチェアー・リフトという大ギャラリー付である。ただし見る方も見られる方も恥も外聞もなし。思う存分コブの中をのたうちまわり、それを見物する。
コース幅といい長さといい持続する斜度といい紛れもなく1級品である。スタート地点をずらせば巨大なセッピが待ち構え、コースを少しはずれれば変化に富んだ巨大な凹凸斜面と岩場が顔を出す。ボウル1つ滑るのでも目移りがしてしょうがない。
 レイクルイーズという夏の避暑地として名を馳せた場所ではあるが、筆者としては大変に楽しいスキー場としてそしてお薦めのスキー場としてその名を明記したい。


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