マッドリバーグレン・スキー・エリア

Mad River Glen Ski Area
Vermont, USA

Introduction / スキー場の特徴

"Ski It If You Can" - 『滑れるものなら滑ってみな!』とでも訳そうか。
実はこの文句、このスキー場の駐車場にスキーヤー達が停めている車のバンパーによくはってあるステッカーのうたい文句なのである。そしてこのスキー場の常連スキーヤーは自分がマッド・リバー・グレンのスキー場を滑っているスキーヤーの一員であることを非常に誇りに思っているふしがある。



 『あるがままに滑るためのスキー場』それがこのスキー場である。『雪が降ったから、斜面があるから、滑る』といったニュアンスにも似てる。そこには昨今の大スキー場がリゾートして至れり尽くせりの管理・サービスを行い、あたかも温室の中でスキーをしているがごとくの状態に対する無言の批判とも思える。

 たとえば人口造雪機の普及により、ゲレンデ上にブッシュ、木の切り株、木の枝、いわんや岩・石などが出ているなどと言うことは極めて希になった。
むしろそんな状況がゲレンデにあったりしようものならば「このスキー場はトレイルの管理が雑だ」などと言われかねない。
ところがマッド・リバー・グレンは違う。「石・岩がでていて何が悪い」「木の枝が散らばるのは林の中をトレイルが通っているからだ」に始まり、「そのくらい自分のスキー技術で避けてみな」という内に、「そんなものすら避けられないような未熟者は来なくていい」という感じにまでなってしまう。

 トレイルマップは言う。「アルペンスキーは人間の精神的な、たえなる挑戦を意味するレクリエーションである。雪質、天候と同様に自然に出来たあるいは人為的につくられた障害物も人間が山や環境に対し挑戦する対象物であることにかわりはない。」とまで言い切る。

 初級コースこそグルーミングを行うようになったし、一部には人口増雪機能も導入されたが、上級コースには全く縁がない。コブとブッシュと岩、木の切り株、木の枝のオンパレードである。
たまたま筆者がベースロッジでブーツをはきかえる際に一緒だったアメリカ人の若い男性スキーヤー二人は「とてもこんなスキー場では滑ってられない」と捨てぜりふを残してわずか1時間ほどで引き上げてしまった。

 とにかくコースがタフである。一般のスキー場が『スキーヤーが安全にスキーが出来るように木を切り、区画を仕切って、雪が降るのを待ち、雪が降らなければ雪をつくって、しかもなだらかに整地して、さあ、どうぞ』というのに対し、マッド・リバー・グレンは『山があって、雪が積もったから、そこを滑ろう』といった類なのである。(もちろんほとんどのトレイルは木を切り、コースとして確保されているが)

 メインのコースをちょっとはずれると大変である。木の枝に絡まれながら、ぐにゃぐにゃ曲がりながら(蛇行などというレベルではない)、木を避けながら、コブにとばされ、横向きに階段降りの技術を駆使しながら、斜滑降とキックターンとを組み合わせて、ちょっと広いところに出てかっこよくウェーデルンを切ったとたんに、『ガリッ』「ちくしょう!石の上にのっちまったよ!」・・・・ああ未熟者。

 リフトもしかりである。アメリカに来てはじめてシングルチェアーのリフトを目にしたし、乗った。ひょっとしたら20年ぶりぐらいにシングルチェアーに乗ったかもしれない。
となりにあるボロボロの(失礼!)ダブルチェアーリフトが、普通のリゾートで目にしようものなら天然記念物だ、などとこき下ろしそうなのだが、ここではやけに近代的な設備に見えるからおもしろい。

 『ゴンドラだ、デタッチャブル・ハイスピード・クォッドだ、やめて頂戴。むかしはスキーをかついで自分の足で歩いて登ったものなんだよ。機械に運んでってもらえるだけありがたくおもいな!。』と聞こえたのは筆者の空耳だろうか。



[Back]