マルモットベイスン・スキー・エリア

Marmot Basin Ski Area
Alberta, Canada

Introduction / スキー場の特徴


パーキングへのアクセス口
 ステップ・イン、ステップ・アウトのスキー場。これがこのスキー場に対する筆者の第一印象である。トレイルマップをご覧いただきたい。パーキングロットの位置が非常に興味深い。通常はベースロッジの前に位置するものだがこのスキー場の場合はゲレンデのすぐ横にロット1からロット4までが整然と並んでおり、全てのロットはホーム・ランコースに直接スキーヤー・ゲートをもっているほか、ロット4についてはその他にカリボウ・リフトへの直接のアクセスが可能である。

 つまりパーキングの車の所でブーツにはきかえ、そのままコースに滑り出すことが出来るし、スキー終了時もスキーを履いたまま駐車場の入り口まで、雪さえ十分にあれば車の所までスキーで戻ることが可能である。もちろんリフトチケット購入のためにベースロッジでスキーを脱がなければならないが・・・。しかしここまで徹底したコンディションになっているパーキング・システムも非常に珍しい。

 大規模スキー場であればあるほど、リゾートとしての設備が整っているスキー場であればあるほど、ゲレンデの周囲には付属の施設が密集してしまい、デー・パーキング(日帰りスキーヤー用駐車場)は設営が難しいし、ないがしろにされやすい。そこで多くのスキー場はゲレンデから離れたところにあるパーキングからシャトル・バスをつかってスキーヤーを移動させる。それだけでゆうに30分はかかってしまう所などはざらである。このスキー場はそういった時間の無駄が全くと言っていいほどない。
もちろん大型バスなどはベースロッジ前に直接停められ、スキーバスを利用したスキーヤーもバスから降りてそのままゲレンデにアクセスできる。パーキングという点を考えた上でゲレンデまでのアクセスがこれほど容易なスキー場は他には例がない。


エキスパートコースも一級品
 夏の避暑地・観光名所として名高いアルバータ州のジャスパー近郊に位置するマーモット・ベイスンスキー場。筆者はここを穴場というとちょっと語弊があるが、『近くまで来たついでに是非立ちよって欲しい』スキー場として紹介したい。
決して大型のスキー場ではないし、特大のなにか、あるいは非常に特徴的ななにかをもったスキー場ではない。従って日本からあるいはその他遠方からこのスキー場を滑ることを主目的にわざわざやって来るというのはいささか考えにくいし、現実的でもない。しかし中規模のスキー場としては間違いなく標準点以上の水準であること、立地条件、そしてスキー場の周囲・周辺に存在するライバルスキー場の水準の高さや観光資源の豊かさを考えると『何とか日程・コースをやりくりする価値のある』スキー場なのである。

 大変にコンパクトにまとまっているにもかかわらずとてもバラエティーに富んだトレイル構成の上、一つ一つのコースが非常におもしろく、興味深いし、そして楽しい。
滑るうちに目の前の光景が過去に筆者が滑ったスキー場のある部分に非常に似ているのに気がついた。そしてそれが何箇所となく出てくるのである。こんな表現をするとスキー場側の顰蹙を買いそうだが、このスキー場のもつコースのバラエティーさを表わすためということでご容赦願いたい。

 マーモット・ピークへの登はんエリアはコロラドのキーストーンのアウトバックに、マーモット2の下のボウルはアラパホ・ベイスンのイースト・ウォールのような雰囲気があるし、イーグル・イーストのエリアはヘブンリーバレーのモット・キャニヨンを小ぶりにしたような、いやサンライトの新設されたキャニヨンエリアの方が似ているかもしれない。ベースロッジ前の整然とした中級斜面の連なりはバーモント州のオキモスキー場を彷彿とさせる。きりがないのでこの辺にしておくが部分的にこれほど切り張りできるのも珍しい。亜流という意味では決してない。規模の割にそれほどの特徴を備えているということを意味しているのである。


左翼の峰からは雪崩まで押し寄せる
 スキー場としての知名度が南のレイク・ルイーズ、サンシャイン・ビレッジに1歩も2歩も後れをとっているため(失礼!)混雑さが無い。近郊の大都市はアルバータ州の州都、エドモントン。シアトルあるいはバンクーバー経由でエドモントンに入れば車で3時間の位置にあり、アクセスが比較的容易である。
一般的にアルバータ州のスキーはカルガリーに到着してバンフまで北上しレイク・ルイーズ、サンシャイン・ビレッジを中心に滑るのが定版である。日程的に余裕があったりシャトルバスの便が良かったりすると周囲のスキー場にも触手を延ばすというところだろうか。出来ればもう一歩踏み込んだスキー旅行を提案したい。
たとえば『1・空路エドモントン着、2・列車でジャスパーへ移動・マーモットでスキー、3・車でレイクルイーズかバンフへ移動・レイク・ルイーズ、サンシャイン・ビレッジ、バンフ・マウントノーケイでスキー、4・余裕があれば周辺のスキー場を滑る、5・カルガリーへ移動』というのはいかがであろう。

 夏のコロンビア大氷原で有名なエリアだが冬のジャスパー・レイク・ルイーズ間の景色にも素晴しいものがある。特に朝日や夕日を浴びてのドライブは筆舌につくし難いものがあった。(ただし都会の道ではない。しかも冬である。天気予報、道路状況、自動車の点検・準備・燃料の確認等は万全が上にも万全を期す必要がある。)


トム・アカマ氏
スキー場でたまたまご一緒した日本人の初老のご夫婦がやはりこのコースをとっておられた。「退職した自分達にはたっぷりと時間がありますから」とおっしゃってはいたがなかなか鋭い旅程を立てられていると感心したものである。ちなみにこのご夫婦。ご主人の退職後、奥様がスキーを始められ、今では一冬に3〜4ヵ所の海外のスキー場を滑り歩いているとのこと。是非当クラブの会員となっていただきたい方である。筆者の名刺を差し上げたのだが、機会があれば是非ご連絡をお待ちしております。

 楽しい出会いもあり思いで深いスキー場となった。実際、滑っていて楽しかった。隣のブリティッシュ・コロンビア州のウィスラー・ブラッコムスキー場がカナダでは知名度、日本人スキーヤーの訪問率ともにナンバーワンだが、再度カナダでスキーをというリピーターの方には是非考慮の対象に入れて欲しいスキー場あるいはスキーエリアである。

 末尾ながら、1996年3月の取材に際してジャスパー在住のTokyo Tomの愛称で知られるトム・アカマ氏に多大のご援助をいただいたことをつけ加える。氏はマーモット・ベイスンスキースクールのインストラクターを勤める傍ら、ジャスパーにおいて日本レストランの経営、日本語観光の企画を行い、ジャスパー商工会議所メンバーとして地元経済に多大の貢献をされている名士である。筆者の取材に際してはスキー場、商工会議所、観光局との会議のセットアップ等、様々な形でご協力をいただいた。ここにご紹介し、厚く御礼を申し上げる次第である。

 追記:97年暮れにトム・アカマ氏よりワールドスキークラブ宛にクリスマスカードをいただいた。それによると現在はアルバータ州ジャスパーとブリティッシュ・コロンビア州のウィスラーに拠点を置き活動しておられるとこと。ウィスラービレッジ内のレストランを買収し、経営されている旨お話しがあった。詳細については追ってお知らせする。
クラブ員各位にご報告まで。


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