スノーバード・スキー・エリア

Snowbird Ski Area
Utah, USA

Introduction / スキー場の特徴


森の梢、積もる雪。トラムには絶好の舞台装置である。
Courtesy Snowbird Ski & Summer Resort
 スノーバードスキー場。背中合わせに隣接するアルタスキー場と共にソルトレイク市の東、リトルコットン・ウッド・キャニヨンに位置する知名度の極めて高いスキー場である。

 トラムを抜きにしては語れないのがこのスキー場である。赤のボディーと水色のボディーが一機づつ。機体には白で『SNOWBIRD』の文字とグリーンとブルーの2色を配した翼のマーク。シンプルなトレードマークだが真っ白の山肌にロープーウェイの本体と共にくっきりと映し出される。
125人乗りの大型キャビンはスキー場のベースロッジから山頂までの8395フィート(2558メートル)を約8分間でかけ上がる。


崖の上からトラムを見おろす
Courtesy Snowbird Ski & Summer Resort
 アメリカ国内のスキー場ではケーブルと呼ばれる小型キャビンによる巡回式はよくお目にかかる。しかし日本国内でロープーウェイ、アメリカ国内ではトラムあるいはケーブルと呼ばれている2つの大型キャビンによる交互昇降型はあまりお目にかかることがない。
カリフォルニ州のスコーバレースキー場の120人乗り、同じくヘブンリーバレースキー場の50人乗り、ワイオミング州のジャクソンホールスキー場の63人乗り、そしてモンタナ州のビッグ・スカイスキー場の12人乗りといったところであろうか。
しかもこれらは頂上やその他のポイントまでの連絡用であったり、特段使わなくても隣のリフトを使えば何とかなるといった位置づけになる。

 たとえばスコーバレーではベースロッジとハイキャンプ呼ばれる崖の上のトップステーションを接続しているが、リフトやゴンドラを乗り継いで行くことができる。
ヘブンリーバレースキー場の場合は、カリフォルニア側の最初の急斜面の昇降両方向をカバーする短い連絡用。しかもすぐ隣には全く同じレンジをカバーするリフトが並走している。
ワイオミング州のジャクソンホールは麓のベースロッジから頂上までを一気に駆け昇る搬送機の役目をこなすが、スキーヤーは頂上に着いた後、頂上付近のリフトによってサポートされるエリアへ居残ることになる。
ビッグ・スカイスキー場のトラムはトラムと呼ぶには小さすぎ、さりとてゴンドラと呼ぶには大きすぎるというなにかしら中途半端なサイズである。しかしその役割はとてもリフトなどは設置できないような断崖絶壁での搬送を担う上、エキスパートしか、それも本当のエキスパートスキーヤーしか利用することが出来ない極めて特殊なトラムである。


ベースからトラムの鉄塔を見上げる
 これらに対しスノーバードのトラムはちょっと違った意味合いを持つ。トラムはそれ単独で一つの山を受け持ち、決してリフトの代用品ではない。しかも1本のリフトではカバーしきれないほどの長い距離をサポートする。それがためにスキーヤーはリフトを利用するがごとくにトラムを利用し、しかも山の頂上からベースに至るまでの長距離を一気に滑って楽しむことができる。

 このスキー環境は頂上に向かって左側のじょうごを縦に割ったような形状のトラムサイド、右側の様々なコースが入り組んででき上がっているリフトサイドという2つのエリアに二分される構造に由来する。
そして頂上まで行くため総てのコースへのアクセスが出来、初級、中級、上級そしてエキスパートの全てのレベルのスキーヤーの利用が可能である。
ただしトラム下のボウル状のコースに点在するダブルブラックダイアモンドを挑戦しようという輩にはトラムは必須の搬送機である。さらに頂上からベースまでをかっとんで滑ろうとたくらむスキーヤーにもいくつものリフトを乗り継ぐ面度臭さを抜きに、しかも乗車中にたっぷりと休息がとれるという誠にありがたい存在なのである。


トラムとは反対側の登り口
 普通スキー場のトップトゥーボトムのコースというのは途中にいくつものキャットウォーク(だらだらとしたなだらかな連絡路的な緩斜面コース)があることが多い。しかしこのスキー場はそれが余りなく、一気滑りをやろうと思えばできるし、滑りそのものも非常に爽快なものになる。
ただしこれがなかなかきつい。トレイルマップで見る限り単純なしかも短い一直線のように見えるが、実は内容的にも量的にも大変に充実したものである。
まず斜度の変化である。急斜度から中斜度へ、中斜度から緩斜面へ。そしていきなり急斜度へ・・・といったように繰り返し、繰り返し斜度が変化する。
斜面内容の変化も多い。いきなりボウルの側面を滑る場合や斜面を横切るようにしてつくられた細長いコース、ボウルの底にあたる緩斜面、ハーフ・パイプ状の斜面、まさにコブあり谷ありといった様相である。
しかもこれが長い。起伏に富んだコースを滑るため、地図上の見た目以上に実際の滑走距離は長くなる。


夕暮れの中を進むトラム
Courtesy Snowbird Ski &
Summer Resort
 トラムのベースステーションの待合い時間中、トラムを使って1日に何回トップトゥーボトムを滑ることができるか、というレースのビデオの放映をみた。
特別のレース日としたようで、普段はスキーをはずして持ち歩くはずの乗車口付近まで雪が敷き詰めてあり、競技者はトラムの乗降口ギリギリまでスキーで滑ってきてスキーをはずし、トラムに飛び乗っていた。

  最初は何のビデオか訳が分からず不思議に見ていたのだが、友人のスキースクールのインストラクターがいろいろと説明してくれた。「ようやるわ!」といのが正直なところだった。
もっともそれを口にした途端、「それは君が歳をとったからだよ」と言われてしまい、「ムッ!」としつつも反論する術がなく、同意せざるをえなかったのは悔しかった。

 スキー上の景観にもすばらしいものがある。渓谷の白銀の世界の中に浮かぶ巨大な黒塗りのクリフロッジの姿は圧巻。天気が良ければソルトレイクの街並みをかいま見たり、ソルトレイク湖(Great Salt Lake)の姿を遠望するのもよい。
雲の出具合によっては雲海を上から眺めたり、雲の中を駆け抜けて雲海の上がることもある。

 トラムは中から外の景色を楽しむのはもちろん、外からトラムが昇降する様子を見るのも楽しい。山の上から眺める大型トラムの姿はひときは素晴らしい。赤や水色のベースカラーが雪の白さににくっきりと映え、大きな『Snowbird』の文字とマークがひときわ鮮やかに浮かび上がる。その鮮やかな姿が雲海の中から姿を現わしたり、逆に漂う雲の波間へ沈んでいく様は他ではちょっと見られないものである。
 


[Back]
Copyright 2003-04 World Ski Club,Inc. All rights reserved.