ストウマウンテン・スキー・エリア

Stowe Mountain Ski Area
Vermont, USA

Introduction / スキー場の特徴


頂上駅に着くゴンドラ
 スキー場が自然環境問題に取り組むケースがアメリカ国内で増えてきている。
従来、スキー場と自然保護とは全く相反する立場であり、ときとしてスキー場側と自然保護団体との間で大きな衝突が起きたことさえあった。
自然の山肌を切り開いてスキーゲレンデを開設し、鉄塔を建ててリフト・ゴンドラなどを設置し、ベースロッジやホテルなどを建設することでコミ処理、汚水処理の問題を引き起こし、多数のスキーヤーの来場のために道路を広げ、パーキングを拡張し、空気の汚染を誘発する。人工造雪機能の普及は水供給問題、地下水汲みすぎの問題を引き起こし・・・、と問題は止まるところを知らないように増え続けた。

 しかし近年、スキー場側の周囲の自然環境に対する態度が変わり、今あるスキー場施設を消滅させるわけにはいかないが、今ある諸施設が周囲の環境に悪い影響を及ぼさないように、あるいはその影響を最小限のものにしようという努力がなされるようになってきた。



山猫のイメージを写したトレイルマップ
 バーモント州キリントンスキー場が先鞭を付けた汚水の再利用システムといった大規模なものから、ワイオミング州ジャクソンホールスキー場が行うリフトチケットをウェアーに装着するためのピンの一人1個運動に至るまで様々な内容、規模で行われるようなってきた。

 この周囲の環境への悪影響の軽減といういわば『守り』の活動からさらに『攻め』の活動に入ったのがこのストウ・リゾートである。

 まず、古来バーモント州に多数生息していた山猫を自らのスキー場のキャンペーンイメージとして採用した。それによって人々に山猫生態に関する意識を高めさせようというねらいである。
次にそれまで散発的に行われてきた山猫の生態調査を側面的に援助し、継続的なのとした。ここにはスキー場収益から地元の自然保護団体に対する援助も含まれる。
最終的にはスキー場周辺の山猫生息地の環境悪化を防ぎ、山猫の生息を守るための募金活動を援助推進しようという画期的な内容である。


緑豊かなバーモント州の山並み
 自動車のナンバープレートに『グリーン・マウンテン・ステイツ(Green Mountain State)』とキャッチフレーズが入るほど、バーモント州は緑豊かな、山の多い州である。当然そこに生息する動植物にも多彩なものがあったし、スキーヤーにとっては様々な顔をもつスキー場が数多くあり、アメリカ東部在住のスキーヤーにとってもパラダイスでもある。

 しかしこの200年ほどの農業の発展はそれら動植物の生息地を奪う結果となった。中でも山猫の生息数の激減ははなはだしく、1980年代中頃までの約100年間はその目撃数すらゼロと報告され、絶滅が予測されていた。
ところが1984年に45頭の生息が確認され、バーモント州と連邦政府による保護体制がしかれた。しかし実際の活動は活発さを欠き、民間人有志による非営利団体の活動に頼らざるをえない状況の中で92年には17頭の生息しか確認できない事態に至った。


マンスフィールド山頂を望む
 そこへ援助の手をさしのべたのがそれまで自然保護団体にとってはフグタイテンの敵であったスキー場、ストウ・スキーリゾートである。
ストウ・スキーリゾートの主張は『スキーリゾートは野性動物保護のための機会を有している。それは野性の世界へ人間が進出しないといった短絡的な考え方ではなく、スキー場という人工的なものと自然環境との末永い共存関係を目指すことである。』というものだ。
スキー場がここにあるがゆえに山猫を守ってやれるのだ、という結論への伏線だろう。方法論、理屈はともあれ、うまくいってほしいものである。


ベースロッジ前ゴンドラコースを望む
 さてスキー場。険しい山並みの入り口に位置するようにある。山の麓、中央の広い駐車場を中心に三方向にゲレンデが広がるスタイル。いわゆるすり鉢状のボウルの底の部分が駐車場でその周囲にトレイルがある、という感じ。

 ゴンドラの使い方がおもしろい。一般的にゴンドラやケーブルカーはそれらを補助するリフトと共に運用されるのが常である。大量輸送手段であるゴンドラをしてまずスキーヤーを一気に山の上へ搬送する。その後、スキーヤーは思い思いのコースを選んで滑り、そのコースをサーポートしてくれるリフトを利用するというもの。
しかしこのスキー場のゴンドラはそれ独自で、あるいはそれのみで中央の斜面をサポートする。ゴンドラ専用コースとよんでよいだろう。最もトレイル数の多い左翼の山をサポートするのではないところがおもしろい。
トレイルの内容はゴンドラ山頂駅からベースまで、割と長めの中級斜面が一気に駆け下りてくる感じのコースである。

 右翼のスプルース・ピークはどちらかといえば初級・中級なコースが多い。下半分が初級者コース、上半分が中級者コースといった感じか。他の2つのエリアとはスキーコースで直接連絡していない、独立したエリアを形成する。そのためスキースクールの本部もここにある。

 左翼のマンスフィールド・ピークがスキーエリア全体のほぼ半分の敷地面積を占め、中心的な存在である。コースも1本1本が割りと長めで、特に左翼の一部は東部でも指折の急斜度のコースに入ると思われる。滑っていても迫力を感じさせてくれる斜度だった。上級者あるいはエキスパートにも楽しめる内容と思う。
1本だけではあるが山頂から山の周囲を迂回する初級者コースがセットされている。更にこのコースの途中から今一つのアクセス口であるトール・ハウスベースロッジへの連絡口が用意されている。

 コースの数は多いが緩慢さを感じさせることがあまりない。バーモント州北部の雄と呼ばれるにふさわしいスキー場である。


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