ストラットン・スキー・エリア

Stratton Ski Area
State, USA

Introduction / スキー場の特徴


スキー場正面全景
 『おはようフィリップス君。写真はアメリカ東部、バーモント州中南部にあるストラットンスキー場である。ここは東部のスキーのメッカ、バーモント州に位置しながら、ボストン、ニューヨークといった大都市からのスキーヤーの獲得をめぐって南のマウント・スノー、北のキリントンといった大規模スキー場を相手に大変苦戦しているスキー場である。
さて、君の今回の使命だが、この周辺のスキー場が大都市からのスキーヤーを顧客として確保することを阻止し、ストラットンスキー場がより多くのスキーヤーを確保することにある。君もしくは君の仲間が捕らえられあるいは死亡しても当局は一切関知しないからそのつもりで。・・・』。ああ懐かしの名場面、スパイ大作戦(原題はMission Impossible、60年代に最初のテレビ化、80年代に第2部テレビ化、その後トム・クルーズ主演で映画化された)からの一コマである。


下はシーズンパス、上はエキスプレスカード
 ここでは『顧客獲得大作戦(Mission Customer)』である。
バーモント州南部にスキー場が集まる地区が3つある。南地区のマウント・スノー、ヘイスタック、中地区のブルームリー、ストラットン、マジック・マウンテン、北地区のパイコ、キリントン、オキモである。この3つの地区は車で2時間から5時間以上離れているとはいえニューヨーク、オルバニー、ボストンといった大都市を顧客源として有している。有しているのはいいのだが、ここに実に熾烈な顧客獲得競争、ひいては生存競争が繰り広げられる。

 事実、南地区ではヘイスタックがマウント・スノーに併合された。中地区ではマジック・マウンテンが業績不振から閉鎖を余儀なくされた。北地区ではパイコがキリントンに吸収合併される。同じ地区内での食い合いもすさまじいものがある。
と、同時に各地区同士での顧客獲得のための競争もまた凄い。合併・吸収の前にも、中地区では3つのスキー場が中核となるマンチェスター市と共同戦線を張って顧客誘致作戦を展開したし、北地区でもキリントンとパイコが共通リフト券の販売などをしたこともある。そして今、あらためてスキー場独自の作戦が展開されている。

 フレクエント・スキーヤープログラム。航空会社の『飛んだマイル数に応じてフリー航空券など、何らかの特典を与える』制度を、スキーヤーにも適用したもの。会員として登録させてしまえば、スキーヤーは特典ほしさに他のスキー場へは行かないだろう、という作戦である。
ストラットン・エキスプレス・カード。前述のものよりももっと会員制の度合いが強い。会員になるきに自分のクレジットカード番号を登録する。リフト料金が安くなる上、リフトチケットをいちいち購入しなくとも良い。リフト乗り場で会員証を装置にスキャンするだけで料金の支払い等が総て自動的に行われる仕組み。
リシプロカル・リフト・チケット(Reciprocal Lift Ticket)。地区を越えてライバルと手を結んだ。北のオキモ・マウンテン との提携により、3日以上のリフトチケットを購入した場合、その内の1日をオキモ・マウンテンノスキー場で楽しめるという制度。少しでもスキーヤーにコースのバラエティーさを味あわせようというサービス。


乗降がリフトのように手軽なゴンドラ
 広告もまたおもしろい。『バーモント州で最も大きなシングル・マウンテンのスキー場(Vermont's Single Biggest Ski Mountain)』。正直なところ、なんのこっちゃ?、という感想。
今ひとつは比較広告。『キリントンより1時間近い!』これなどはライバル、キリントンへの敵意むき出しである。
はてさて、これらの大作戦の結果にやいかに?、である。

 広告の中にでてきたシングル・マウンテンという言葉が示すとおり、単純に末広がり型のスキー場である。ゲレンデ、スキー場全体の形が漢数字の『八』に非常に似ている。谷間などが深くえぐれている様子もなく、ここまで素直な形をしたスキー場も珍しいかもしれない。素直な山の斜面の上にそのままゲレンデをつくったため、当然のことながら各トレイルも素直な、モデレイトなあるいはジェントルな、しかし悪く言うと単調なものが多くなる。
 ブラックダイアモンドのコースも難易度の面から言うとそれほどのレベルではない。グルームしてないため、一部に急斜度があるため、一部に幅の狭い箇所があるため、という理由で上級コースの指定を受けているものがほとんど。そのため家族連れ、カップルには大変人気があるようである。まずまず安心して滑ることの出来るトレイル構成である。


なんと、6人乗り高速リフト
 大量輸送の先駆けをつくったスキー場でもある。12人乗りのゴンドラを設置しているのは東部ではこのスキー場のみである。しかも考え方がリフトと同じように気軽に使えるようにという配慮が成されているように思う。ベースステーション、トップステーション共にリフト乗降場のような簡素さであるし、キャビンもスキーを持ったまま乗り込むタイプである。
このアメリカ東部では中西部のスキー場のように風よけのシールドをリフトに設置してある姿を見かけない。というのもこの地区は真冬であっても雨、みぞれが降ることがあり、しかも夜間の冷え込みが極端なほどきつい。次の朝になるとシシールドがばりばりに凍り付いてしまう恐れがあるのである。そこで設置されたのが12人乗りのゴンドラというわけである。

 今一つ、6人乗り高速リフトを導入したのもこのスキー場が最初である。真ん中の方に座るといささか不安になるが、乗りごごちはまずまず。ただ導入後、数年が経つが他のスキー場ではまだ2カ所でしかお目にかかっていない。何か難しさがあるのだろうか。


USオープン競技会
 スノーボーダー天国という言葉も忘れてはならない。
スノーボードという種目が世に出始めた頃、真っ先にそれに取り組んだのもこのスキー場である。バートンの創設者であるジェイク・バートン・カーペンターがスノーボード用のいわゆるスノーボード・パークの開発を行ったのもこのスキー場である。
以来、スノーボード、USオープン競技会の開催地として位置を占める。ストラットンの名前に一種の聖地のような意味あいを感じるスノーボーダーもいるようである。

 1980年代後半から日本の某スキー用品会社がこのスキー場の所有所であった。その運営に大きな期待がかけられたが、残念ながらバブル崩壊後には資金繰りが苦しくなったのか、いささか寂れた雰囲気をみるようになった。ショッピングモールのテナント募集の張り紙や、ホテルのロビーや廊下のなんとなくうらぶれた感じがそれを助長していた。

 残念ながら95年のシーズンオフに売りに出されてしまい、カナダのブラッコムスキーリゾートを所有する会社が現在の所有者となった。新しい所有者は今後、大規模な投資・改造を予定しているとのこと。今後2〜3年で内容的に大きな変化が見られそうである。



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