シュガーブッシュ・スキー・エリア

Sugarbush Ski Area
Vermont, USA

Introduction / スキー場の特徴


2つのエリアと連絡道路
 『むかし、むかしあるところにシュガーブッシュというとても大きな、そして大変におもしろくて人気のあるスキー場がありました。しかしこのスキー場には真ん中に大きな谷がありました。谷のこちら側をシュガーブッシュ・サウス、谷の向こう側をシュガーブッシュ・ノースと呼びました。
共に素晴らしいコースをいくつももっているエリアなのでスキーヤー達は皆、谷の向こう側のコースを滑りたいと思いました。しかし谷は深いばかりでなく、途中に別の山と谷をもった複雑で険しい谷でした。
しかたなくスキーヤー達はシャトルバスを利用して行き来しておりました。しかしこのシャトルバスはお払い箱になってから何年も経つ古いスクールバスを改装したもので、それはそれは乗り心地が悪いものでした。しかも地図の上ではすぐに隣り合っている2つのエリアも、車を使って移動するとなるとグルーッと遠回りをしなければなりませんでした。もちろん出発時間にあわせて、スキーをはずし、ベースロッジ前のバス停で時間待ちをしなければなりませんでした。


遥かなる山の彼方へ。長い連絡リフト
 ところが西暦1995年の初冬、突如としてスキーヤー達の目の前に二つのエリアを繋ぐ虹の橋が架かったのでした。4人掛けの椅子のついたその橋は山を越え、谷を越え、また山を越え、さらにまた谷を越えておよそ14分の時間をかけて向こう側のエリアに到達するのでした。それぞれ反対側へ向かうスキーヤー達はニコニコしながらお互いに手を振ってすれ違ったとさ。パチパチパチ。おしまい。』

 かつてはシュガーブッシュ・サウスとシュガーブッシュ・ノースの名で呼び分けていたシュガーブッシュの2つのスキーエリアも、最近はリンカーン・ピークエリアとマウント・エレンエリアと呼び慣わしているようである。
そしてこれら2つのエリアが何らかの形で結ばれたならどんなに便利で素晴らしいであろうか、とこのスキー場を滑ったスキーヤーは考えたものである。そしてついにそれが現実のものとなった。

 その名もスライド・ブルック・エクスプレス。2つのエリアを1本のハイスピード・クォッド・リフトで結んだのである。リンカーンピーク側は最も北側の山であるノース・リンクス・ピークの八合目あたり、リフトで言うとゲートハウスリフト降り場付近。マウント・エレン側は山の麓から頂上を結んだ線の3合目付近、リフトで言うとグリーン・マウンテン・クォッド降り場付近を結んでいる。

 95−96シーズンのトレイルマップを見るとそれぞれの基点から一直線で結ばれていてシンプルな構造のようにみえるが、実際にはかなり昇り・降りが伴う。南から乗ると、まず目の前の山を昇り、谷底まで一気に駆け下りる感じになる。これがかなり長い。谷底を過ぎて昇り始め山の稜線の上に出て「もう着くのかな」と思いきや、最初ほどではないがまた谷に向かって降り始める。この小さい方の谷を昇り始めると、眼下にロウアー・FISのコースを眺めることになる。そしてこのロウアー・FISのコースとメインのゲレンデの間にある稜線を越えるとマウント・エレン側の基点に向かってかなりの急角度で降り始める。

 この間約14分。天候等により、運転速度が違うためはっきり何分間とは言い切れないが、かなり長い時間乗ることは覚悟した方がよい。すなわち風に吹きさらされて寒いということである。くれぐれも暖かく着込んで乗車することをお薦めする。


新たなスキー場のシンボル
 さて連絡リフトの話ばかりになったが上述のごとく2つのエリアからなるスキー場である。元々トレイルのおもしろさには定評のあったスキー場であり、この地域では唯一FIS(国際スキー連盟)公認の競技コースももつスキー場であった。しかしながら設備投資の立ち後れにより、全ての施設の老朽化が目立ち、この地域のスキー場には欠くことの出来ない人口造雪機の普及も著しい遅れを見せていた。

 この長い間の懸案であった設備投資を95年のシーズンオフに一挙に実行し、様々な設備を充実させていった。当スキークラブへ届いたスキー場側からの報告によると投資総額は2800万ドル。1ドル120円換算で、33億円あまりの投資金額とのことである。

 2つのエリアの連絡リフトを含め7つのリフトの新設・更新。新しいベースロッジとそれに付随する施設の建設。新旧両ベースロッジの連絡施設の設置。300%の人口造雪能力アップ等々、相当の内容である。


ロッジ連絡用マジックカーペット
 7つのリフトのうち5基までが最新の高速リフト、こちらではHigh Speed Detachable Quad Liftと呼ばれるものである。通常、大規模スキー場でもこの手の設備投資では1シーズンオフに1基の更新が当たり前であることを考えると、この数はものすごい。

 10年ほど前にこのスキー場を訪れたときは、駐車場前にはこれといった施設がなく、不便な思いをした記憶があるのだが今回は利用者の便に供するための施設がつくられ大変好ましい状況になった。

 さらにベースにあるゲート・ハウスロッジからちょっと登ったところにあるバレー・ハウスロッジまでを『動く歩道』のスキー場版、マジック・カーペットで連絡した。これによりスキーをかついでフーフー言いながらの登らなければならなかった2つのロッジが容易に行き来が出来るようになった。


雪が足りずブッシュだらけ

ブッシュの露出を警告する看板

 今回の設備面での充実は各方面から好評をもって迎えられているようである。中でも人口造雪機能の充実は素晴らしい。トレイルの『こむずかしさ』に定評のあるスキー場だが、降雪量の少なさでトレイル・クローズの憂き目を見ることも少なくなかった。クローズこそしていないが、雪の量が少ないためにコースのあちらこちらに石、ブッシュ、木その他の邪魔者が露出してしまい苦労することが多かった。スキーを傷つけないように滑るにはどうしたらよいだろう、とコースを見極めることで頭が一杯になってしまい、あまり楽しめないことも多かった。今後ますますの充実に期待されるところである。


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