タオスバレー・スキー・エリア

Taos Valley Ski Area
New Mexico, USA

Introduction / スキー場の特徴


遥かなる山陰
 ありきたりのスキー旅行はつまらない。思いっきり新鮮な思いをしてみたい、というスキーヤーにおすすめなのがニューメキシコ州のタオススキー場。一口で言うなら『砂漠の中のスキー場』と表現できる。

 地図で見るとニューメキシコ州自体が東にテキサス州、西にアリゾナ州、そして南はメキシコという位置関係。「えっ、そんな南にスキー場があるの?」というのが普通の反応である。日本人にはニューメキシコ州という名前自体あまりなじみがないかもしれない。アメリカ国内でもあまりポピュラーではないというか、人々の話題に上ることが少ない州の一つである。

 筆者にとって印象深かったのは車のナンバープレートに表示してある州名。通常は『California』、『Texas』、『New York』といったように州の名前のみが表示されるのに対し、この州は『New Mexico, USA』というふうに表示し、アメリカ合衆国の一州であることをことさら強調していることである。
メキシコと国境を境にしている上、似通った州名であることで他地域から誤解を受けないようにとの配慮であろうか、などと想像したりもした。


スキー場全景
 経済的に最大の都市は州の真ん中からやや北東よりに位置するアルバカーキ。そして州都はアルバカーキの北に位置するサンタフェ。スキー場はサンタフェからさらに北へ車で2〜3時間、州の北部、コロラドロッキーの南の終着点というべき所に位置する。

 南から見ると一面の砂漠の中にそそり立つタオスバレーの山並みの中に堂々たるタオススキー場がある。とにかく周辺は砂漠。低い潅木しか群生せず、しかも土というか砂というか、とにかく地面は赤茶けた独特の色。車を走らせるとこの赤茶けた色が複雑な丘陵地形となって遥か彼方へと広がっていく。

 建物の様子もアメリカ国内にいるとはとても思えない独特なものがある。我々日本人が映画の西部劇のシーンで見慣れている、総てに丸みを帯びたメキシコ的なものが大半を占める。
表面的な見方ではあるが、メキシコから北上してきた文化がスキー場の北部にそそり立つコロラドロッキーの険しさに阻まれ、このあたりを終着点とした、といえるかもしれない。スキー場で売っているお土産用のセーターなどの織物にもメキシコを感じさせるものが多い。


こんな風景、どこでみましたか?
   スキー場からはやや離れた小さな村の織物工場を車で訪ねた。織物工場というよりも『こうば』といった方が良いほどの小さな仕事場では、手作業による昔ながらの織物作業が行われていた。

 150年前にメキシコから移住してきた祖先が築き上げた手法である。羊を飼い、毛を刈り、紡ぎ、染め付けをし、織物を織るという何もかもが自分たちの手で行われる。近代的な機械を導入するのではなく、原材料もどこからか買い付けてくるのでもなく、伝統的な方法と手作業による手法をいまだ守っていた。

 150年かかって作り上げて、そして守っているその村の空気にはやはり独特なものがある。


橋の欄干からみた河床
 自然の造形にも見逃せないものがある。時間的に余裕があるのならば是非見学してもらいたいのがリオ・グランデ川。
遥か彼方に雪を山頂に戴いた山並みを遠望しながらだだっ広い砂漠を車で走っていると、割と長い橋が急に出てきた。同じような風景に少々飽きてきたところだったので「あっ、川があるのか」と思いつつその橋を渡りはじめるやいなやびっくり仰天。
川の上流、下流の両方向の川というか谷の深さに思わず感嘆の声を上げてしまったのである。

 まったいらな土地がパックリとひび割れたような、それもその深さがそんじょそこらの深さではないのである。山の高さがあっての谷の深さではない。平地の中の突拍子もない深さなのである。
そのコントラストには非常に興味深いものがある。長年にわたる浸食作用が河床を何百メートルも掘り下げる結果になったのだろう。グランドキャニオンとは違った雄大さがある。



ボウルに向かって登るスキーヤー
 スキー場周辺に関するコメントばかりとなってしまったが、スキー場自体も南部の雄を自他ともに認めるだけあって見事な内容である。やれゴンドラだケーブルだ・・・と派手なものは何もない。数基のリフトのみのオペレーションである。しかしそのコースの豊富さには目を見張るものがある。

 一カ所しかないアクセス口からスキー場を見上げるとダブルブラックダイアモンドの猛烈なこぶ斜面が目に飛び込んでくる。この急斜面をリフトで上った向こう側に中級、初級そして再び上級者用のコースが展開する。そしてこれだけのリフト数でどうしてこんなにバラエティーに富んだコースを確保できるのだろうか、と不思議に思わざるを得ない内容なのである。

 リフトが設置されていないためスキーをかついでハイクアップする山頂部そしてそれに連なる峰の各コースの充実ぶりは北米大陸のスキー場の中でも屈指のものである。普通はハイク・アップした所から滑り出すコースというのはほぼ1〜2カ所と相場は決まっているのだが、このスキー場の場合は登り切った山頂から更に先に延々と峰が続くのである。どこを滑るかを決めてから登り始めないと訳が分からなくなる恐れがある。


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