テルアライド・スキー・エリア

Telluride Ski Area
Colorado, USA

スキー場の内容と評価

構造説明

 大きく2つのサイドに分けられる。ノルディックセンターを併設し、メインゲートを有するテルアライド・マウンテン・ヴィレッジのサイドとマウンテンヴィレッジから山一つ隔てた、『向こう側』にあたり2つのゲートを配するタウン・オブ・テルアライド側(以下タウン)である。

 前者はマウンテン・ヴィレッジをすり鉢の底としてやや取り囲むように山の中腹から始まる初級者・中級者コースが数多く展開する。
後者はデー・パーキングを有するクーンスキンベースとゴンドラステーションもあるオークストリートベースがアクセス口。この2つからアクセスする斜面には中上級者コースが多く展開する。
頂上からみると、ヴィレッジサイドとタウンサイドを丁度二分する形で尾根が走り、頂上付近とタウン側にあたる右側にはは中級者コースを織り混ぜながら上級者コースが並び、ヴィレッジ側になる左側には初心者コースを織りまぜるように中級者コースが展開する。
煎じ詰めるとヴィレッジ側は簡単な面、タウン側は難しい面といってよいだろう。

 1972年創設のまだ若い、発展途上・成長期のスキー場である。そのためこのスキー場の大きなメリットの一つにレイアウトの良さ、合理的な機能性を挙げることができる。いわば都市計画に基づいてスキー場を発展させていると思えばよい。
リフトと各コースの配置、ノリディックスキー(歩くスキー)コースとの一体性、マウンテンヴィレッジとタウンの連絡の為のゴンドラ等、なかなか合理的に設計されている。今後数年に渡りゴンドラを含むリフトの新設、コース拡張の申請を行っていく計画のため、毎年のようにその顔を変えていくはずであるが前述のおおまかな配置は変わらないはずである。

目玉のコースと楽しみ方

 いわゆる『ここがテルアライドを代表するコースだ』というのが実は思い浮かばない。
同じコロラド州のヴェイルスキー場やカナダのウィスラー・ブラッコムスキー場のように目の覚めるようなボウルがあるわけではなし、カリフォルニアのスコーバレースキー場やユタ州のアルタスキー場のようにエキスパートが目をむくような長い急斜面があるわけでもない。
むしろそういった強烈な印象を残すようなコースを持たずに、しかしスキー場全体に極めて高い水準を感じさせるのがこのスキー場の目玉かもしれない。そしてスキーヤーがスキーを楽しむ上で『欲しいな』と思う要素を一通り揃えている点を評価したい。

 第一にほぼ完璧と言いたくなるような各レベル毎のコースの住み分けである。トレイルマップを一瞥してすぐに気がつくのが左上方の部分に黒い文字、真ん中の部分に水色の文字、右下方に緑の文字が目立つことである。多少違うレベルのコースが『織りまぜられて』いるところがあるとはいえこれほどうまく住み分けられているのも珍しい。
たとえば東部バーモント州のキリントンスキー場などは1つのリフトに対して上・中・初級の各レベルが必ず滑り降りられるようにそれらのコースが入り乱れて配置されている。ときとして迂回してきた初級者コースが上級者専用の30度を越える急斜面を横切るように設定されていることもある。
これはこれで設計者の苦心の作なのだが、そういった部分は上級者用急斜面であってもスロースキーイングを義務づけられたり、あるいはコースを横切っている最中の初級スキーヤーに上級者がつっこむと行った事故の危険がある。
ところがこのスキー場にはそれがない。1つのエリアには共通したレベルのスキーヤーが集うことになる。もっとも自分のスキー技術を過信しているスキーヤーや無謀な挑戦が大好きなスキーヤーもいるため完全にそうはなりきらないが。
これは安全・快適なスキーのためには大変好ましいことである。もちろん技術の向上にあわせてより上のレベルを目指すこともできる。そういった際には前述の『織りまぜられて』いるコースが大変役に立つ。

 第二はグルーミングポリシーである。スキーコースは何でもかんでもグルーミングしてしまうというスキー場が多い中でこのスキー場はひと味違ったことをしてくれる。
斜度・距離などの絶対条件が似通っている3つのコース全部をグルーミングしてしまえば同じコースを3回滑ったのと変わらない。しかしこのスキー場は斜度、距離、位置など同じような条件のコースが複数あった場合、グルーミングをするコースとしないコースを併存させるやり方をとるのである。
極端な言い方だがそれによってコースの種類が2倍3倍になると考えて良いだろう。それをグルーミング作業が可能な中級以上のコース全てで考えている。
同じ中級斜面でもきれいにグルーミングされたコースとコブだらけのコースそしてその中間のコースではスキーヤーの対応の仕方が全く異なる。もちろん滑り終わった後の感想は言うに及ばず、息ずかい、筋肉の疲労度、全てが違ってくる。
コブの中を思いきり飛び跳ねたり・跳ね返されたりする滑りも、見事に整地されたコースを太股の筋肉がつりそうになるほどのジャイアントスラロームでかっとぶ滑りも、共にスキーの醍醐味のはずである。
各レベルのコースに様々なコンディションのコースが併存して当然だろう。北海道のあるスキー場のゲレンデ管理者に聞いた話だが、グルーミングがきちんとなされていないと『管理が行き届いていないスキー場だ。』と評価されてしまうのだそうである。
アメリカでも似たような側面があるのかもしれない。だとしたら自分から楽しみの幅を狭めているようなものである。『あるがままを滑れ』などと極端なことは言わないがもっと幅広く楽しむ滑り方を知るべきではなかろうか。

 最後に景色の素晴らしさを付け加えよう。アメリカ中西部のスキー場はそのほとんどがロッキー山脈系かシエラネバダ山脈系に属している。従ってどのスキー場もその周囲の景色の美しさ、ダイナミックさには素晴らしいものがある。
しかしこの狭い渓谷の入り口とも言うべき底辺に位置し、その背後の断崖絶壁の荒々しさと奥に向かってのぼりゆく渓谷の広がりは雪の白さと相まって筆舌に尽くしがたい美しさを醸し出している。
断崖絶壁だけでも美しいのだが、その手前に『チョコンッ』と置かれた小さなテルアライドの町並みが素晴らしい、というよりも凄いコントラストを映している。ゲレンデの途中で是非味わってもらいたい景色である。


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