ヴェイル・スキー・エリア

Vail Ski Area
Colorado, USA

スキー場の内容と評価

トレイル構成

 とにかく広大なスキー場である。各スキー場が発行するパンフレットには自分たちを大きく見せたいために『コースの数は最多』、『全コースの総マイル数は最長』、『敷地面積は・・・』、『滑走可能面積は・・・』などと様々な言い方を用いたりする。さらに表現の仕方の他に測定の仕方の問題もあるし、その年の降雪の状況によっては滑走可能面積に加えられながら実際にはほとんど滑ることのできないコースだったなどと言うこともある。単に山の高さを比べるように数字として現れているものを比較するわけにはいかないのがつらいところである。ここはどんな言い方をするにせよ文字どおり最大規模のスキー場である。まずインターステイツ70号線側の表サイドを見て「うん、なかなか大きくて立派なスキー場じゃない」と感想をもらし頂上にあがって裏側に広がるというかほとんど延々とつづくボウル(すり鉢状に広がる斜面)の縁の部分を見るに及んで「ヒエーッ何これ!!」と思わず叫んでしまうのが一般的な反応でしょう。このボウルについては本当に説明に困るほどの大きさなのである。

 まずインターステイツ70号線に面した表側。ゲートとしては西側からモールから少し離れた所にあるカスケードビレッジ、モールの西側に当たりゴンドラステーションのあるラオンズヘッド、モールの東側に位置しリフト数のもっとも多いヴェイルビレッジの3カ所となる。ただしカスケードビレッジからのカスケードビレッジリフトは最寄りの頂上となるイーグルズネストまでは達してはおらず、リフト下にも滑走用のコースはない。あくまでも中心となる斜面への連絡用と考えるべきものである。ライオンズヘッドにはやや古いなと感じさせられるゴンドラがイーグルズネストピークにつながっている。一方ヴェイルビレッジからはビスタバンエクスプレスリフトが表サイドの東西のほぼ中間に位置するミッドヴェイルステーションへスキーヤーを運び、スキーヤーはここで滑り始めても良いし、右上方に見えるワイルドウッドシェルターピークか左上方に見えるサミットエレベーションピークへリフトを乗り継ぐことになる。最も東側に位置するツーエルクレストランキャンプ1のピークへはヴェイルビレッジ最東端のゴールデンピークリフトからハイラインリフトに乗り継ぐのが近道なのだがこの場合少し登らなければならない。

 さてイーグルズネストトワイルドウッドシェルターピークがその縁となるゲームクリークボウルが他の一連のボウルから独立した形で最も西側にある。ここは地形上の特殊性が伴うため幾つかの入場ゲートが設定されており、これらのゲートからの進入のみとなる。ところがインターステイツ70号線から見て完全に裏側になるワイルドウッドシェルター、サミットエレベーション、ツーエルクレストランキャンプ1をその縁とする巨大なボウルは雪さえあればどこから滑り始めてもオーケーというスケールの大きさである。西側からサンダウン、サンアップ、ティーカップ、チャイナ、シベリア、インナーモンゴリア、アウターモンゴリアと便宜上名付けられたボウルが延々と続く。すり鉢状になっているためどこから滑り始めても最後はボウルの底でみんなが合流する格好になる。そのため滑走面積の割にはリフトはサンダウン、サンアップをカバーするハイヌーンリフト、サンアップの東側をカバーするサンアップリフト、ティーカップ以東アウターモンゴリアまでを全て引き受けるオリエントエクスプレスリフトのたった3基と少なく、しかもとにかく広いため滑っているスキーヤーの数が大変少なく感じられる。

レベル毎の楽しみ方

 a)初級/Beginner
 表側下三分の一は上級者コースを除いて全てスロースキーイングエリアとなっているので注意。初心者にはヴェイルビレッジにあるロープトウとそのエリア、あるいはイーグルズネストピーク付近に設定されたロープトウとリフトのある初心者用エリアが楽しい。もちろん帰りはスキーを持ってゴンドラでベースまで降りていける。
 初級者用コースは各ピークからベースまでをつなごうとするとちょっと複雑になりやすいので注意が必要。地図を片手に自分が今滑っている場所、これから滑っていく場所をきちんと確認するのをおすすめする。ただし初級、中級斜面についてはグルーミングがほぼ完璧といってよく、まちがって初級者が中級斜面に入ったとしてもそれほどあわてる必要はなく、むしろこれがチャンスとばかりにレベルアップを目指して果敢に挑戦するのも良いだろう。特にミッドヴェイル付近の各コースは見晴らしも大変よく、実に爽快な気分にさせてくれる。ツーエルクレストランキャンプ1の表側に初心者コースがかたまっているが連続して滑るにはいささか連絡が悪い。最も手っ取り早く戻るにはハイラインリフトを使うことだが途中から中級者コースのみになってしまう。その途中にあるノースウッドエクスプレスリフトを使うと到着はサミットエレベーションでツーエルクレストランキャンプ1に戻るためにはボウルの縁をエッチラオッチラと歩かねばならない。中級者コースとの抱き合わせを覚悟で滑るのがよいだろう。

 b)中級/Intermidiate
 中級者には表側の斜面はよりどり緑である。景色を楽しみながらスキー場のはじからはじまで、すみからすみまで滑り歩くと良いだろう。中級者用に指定されているコースは数が多く全部を滑りきろうとするとなかなか骨である。一方のボウル。ほとんどが上級者コースの指定を受けているが決して中級者にも滑れないわけではない。斜度的にももちろんかなり難しいところもあるがコースを選べば中級者にも充分楽しめる場所は多い。しかし表側の各コースと違いボウル側は基本的にはグルーミングをしない場所であることに注意したい。圧雪車を使ってきれいにグルーミングをされたコースと違い、新雪がスキーヤーによって荒らされ次第に踏み固められていく過程あるいはそこへ更に雪が積もったり、気温が上がって悪い雪質になったり等スロープコンディションはとても一口では言い表すことができない。言ってみれば表のコースが温室ならば裏のコースは冷え冷えとして荒れ野というところだろうか。しかしいつまでたっても温室の中でぬくぬくしているだけではスキーの本当の醍醐味はいつまでたてもわからずじまいである。その日の雪のコンディションをよく見極めた上で、斜度的にも無理のないコースを挑戦してみるのも良いだろう。

 c)上級/Advanced & Expert
 上級者・エキスパートにはやはりボウルを思いっきり楽しんでもらいたい。ただこのすり鉢状のボウルだけが楽しいわけではない。上級者にとってヴェイルの良さとはそのスキーコースの内容の多彩さなのである。まずグルームされた急斜面を思いっきりかっ飛ばしたいスキーヤーにはハイラインリフト系のブルーオックスにそのチャンスが多いようである。コブに挑戦したい人には同じくハイラインとロジャーズラン、急斜度とコブが入り交じったというかややワイルドなゲレンデを求める方にはノースウッドエクスプレスリフト系のプリマとそれから連絡する上級者コースがおすすめ。スキー映画ではないがいわゆるエクストリームスキーをご所望の方にはボウルのサイベリアボウルはいかがであろうか。特にラスプーチンズリベンジを中心とした一帯はしゃくれたり、えぐれたり、崖になったり、岩が突き出したりが40度以上の急斜面とコンビネーションになっており、武者震い(?)のために膝ががくがくする経験もできる。

 もちろんこれまで述べたのはほんの一例である。各レベルに応じてコブの中で飛び跳ねてみたい人、斜度のスリルを味わってみたい人、大小取り合わせてのクリフ(崖や絶壁)からジャンプしたい人。ほそーいコースを滑り抜けたい人、・・・・。広いスキー場のどこかに必ず自分が探しているあるいは自分が楽しみたいコースを見つけることができる。

スキー場評価

 スキートレイルも素晴らしいし、それをとりまく諸施設も立派だし、アクセスも便利。どれをとっても第1級のレベルにあるのは間違いない。ただ一つ苦言を呈するならばすべからく高いこと。北米大陸のスキー場・スキーリゾートの中で諸物価も最高と思われる。貧乏旅行を専らとする筆者もシーズン中100ドル以下で宿泊できたためしがない。そんなことを口に出そうものなら「それこそ非常識な」と怒られそうな、そんなリゾートである。


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