『電話の話−アメリカの電話はどうやってかける?』

典型的なホテル客室内の電話機 |
アメリカで冬はスキー三昧の生活、夏はなにがしかの職業に就いているというその日暮らしの筆者だが実はこの3〜4年、とある旅行会社に勤めている。当然、日本からの旅行者のお世話もするわけだが、様々な問い合わせ、質問の中で意外に多いのが電話の使い方である。
ホテル、空港はもちろん街角のいたる所に公衆電話が設置されているのだがなかなか使えないのである。ここではアメリカ国内の電話の状況と使い方を説明しよう。
まず電話機。家庭内で一般的に使われている電話機については問題が無いであろう。アンサリングマシン(留守番電話)が付属しているかどうかが大きな違いである。ホテルの電話。これは見た目は普通の電話と大差はないがボタンの両脇に何やらごちゃごちゃと書き込みがある。
これはその電話機がそのホテル内の専用回線も併設していることを意味する。簡単な番号でフロントデスク、レストラン、ベルデスク等々お客が簡単にホテル内の諸施設を利用できるように配慮された結果である。そのためにホテルの外との電話交信については相手方の番号を押す前にホテル側の指示する一定の番号を押し、一度ホテル内の回線から外部の回線へ出る必要がある。
しかもホテル側はチェックアウト時のために電話使用料金を記録しなければならない。従って外部交信についても外線市内、外線市外、外線国際通話によって事前に押す番号が違ってくるので注意が必要である。ここまではまずまず問題はない。ところが街角や特に空港に設置されている電話機となると面倒くさい。

空構内の公衆電話機 |
一般の公衆電話についてはアメリカ国内はほぼ共通である。25セント、10セント、5セント硬貨を使って通話をする。ただし日本国内のようにテレホンカードを電話機に差し込んで通話を行うという機能はついていない。
今一つはこの数年登場してきたクレジットカード・各電話会社発行のクレジットカード式後払いテレホンカード専用の電話機である。空港などから他州へ長距離電話をかけるには山のような25セント硬貨を用意するか、コレクトコール(受信人払い)を利用するしかかけようがなかった。
1ドル100円前後の昨今の為替相場で考えた場合、25円硬貨を用意して長距離電話をかけなければならない。何枚硬貨を用意しなければならないかを考えただけでうんざりする。

コイン挿入口のない電話機 |
そこでクレジットカードの磁気テープの部分を電話機のサイドにスライドさせたり、クレジットカード番号を電話番号を打ち込むのと同様に打ち込み電話料金をクレジットカードで払うというやり方が出てきた。
アメリカンエキスプレス、ビザ、マスター、ダイナースクラブ、といったいわゆるメジャークレジットカードで使用できるものが多い。
それに負けじと登場したのが各電話会社のコーリングカード(Calling Card)。アメリカ国内の長距離電話会社であるAT&T、MCI、SPRINTなどが同様の使い方をしてカード所有者の自宅の電話請求書に料金が加算されるという方式。
これに地域電話会社が自分たちの営業地域に自分たちのコーリングカード専用の施設をつくり始めたからたまらない。『このカードの使える電話機はどこ?』といいながら利用者は電話機を探し回らなければならない。そこで長距離電話会社、地域電話会社共にカードについている磁気テープの部分に頼らなくても良い、つまり磁気テープ読みとり機能のついていない普通の公衆電話からも使えるカードを流布させている。
まず各電話会社のトールフリー(フリーダイアル)にかけ、自分のアカウント番号と暗証番号を打ち込み、電話会社側から許可が出たところでかけたい先の電話番号を打ち込むというやり方。これならば電話機を探さなくてもすむし、山のような硬貨を用意する必要もない。長距離電話であろうと国際電話であろうと自由にかけられる。ちょっとくどい説明になったが日本人にとってアメリカの電話がやっかいな代物であることは理解していただけたであろう。
さてアメリカにはいくつの電話会社があるのか。法律の改正等で単純には仕分けできなくなりつつあるが長距離電話会社と地域電話会社の2つに分けるのがわかりやすい。
前者は州を越えての通話、国際通話を受け持ち、前出のAT&T、MCI、SPRINTといった大手3社のほか日本人にしてみれば無数とも思える数多くの小さな会社がひしめき合っている。
後者はナイネックス(NYNEX)、アトランティックベル(ATLANTIC BELL)といった一定の地域で営業する地域電話会社で、最近は料金の値上がりで出来なくなったが25セント硬貨で通話する範囲をカバーするというイメージが筆者にはある。こういった各社の乱立は競争という面では活発な動きがあったが、他方で統一規格のない、バラバラな施設・利用法をうみだし、利用者に混乱を与えたともいえるかもしれない。

コイン挿入口とカードスライド 機能のついた電話機
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さて実際の使用法はどうであろうか。ホテルの客室の電話は別として原則的に市内通話はそのまま相手方の番号を押せばよい。ただしニューヨー市のように加入者数が極端に多いところでは同じ市内でもマンハッタン区は212、その他の区は718といったエリアコード(市外局番)が設定されている。これが一部の地域にあるもう一つの複雑さである。市内通話なのに市外局番を押さなければならないのである。
たとえば日本からケネディー空港に到着し、マンハッタンに電話をかけようとすると空港は718のエリアコード地区なので1ー212をおしてから相手方の7つの電話番号を押すことになる。
いまエリアコードの前に『1』を押すと書いた。話の順が逆になったが市外通話に際し、エリアコードを打ち込む前にこの『1』を押すことがアメリカの電話では必要である。
たとえばニューヨークからシカゴにかける場合は1−312となる。なぜ1なのか。電話会社の人が色々説明してくれたがここでは省く。ただアメリカではエリアコードを使っての通話、トールフリー(フリーダイアル)である800番の電話番号をかける際には必ず最初に1を押さなければならない。
さて肝心の日本への国際通話はどうであろうか。問題は日本の電話会社を使うか、アメリカの電話会社を使うかである。日本の電話会社の場合、KDDかIDCを使うことになる。少し前まではアメリカの電話会社の交換手を呼びだし、"Please Connect KDD International Telephone Company at Tokyo, Japan"と下手な発音でまくしたて、東京の交換手を呼び出して日本国内に電話をかけていたものである。
しかし最近はアメリカのフリーダイアルであるKDDの800番の電話番号やIDCの800番の電話番号をかけると自動的にそれぞれの会社の日本人交換手に接続され安心して日本語で通話を依頼できる。クレジットカード支払や着信人払いの選択も可能である。ただし外国に居ながらにして日本語でのサービスを受ける以上、やや割高になるのは覚悟しなければならない。アメリカの電話会社の場合、色々な電話会社を使うことも可能だし、各種のプリペイドカードもある。

コイン挿入口とカードスライド 電話機にこれみよがしに
描かれた各種利用法 |
アメリカ国内では15ドル前後の額面で売られているプリペイドカードは前述のごとくフリーダイアル800番を押し、カードに記載されている暗証番号を押し、さらにかけたい先の電話番号を打ち込むというスタイルである。アメリカ国内から日本へは1枚で約10分弱の通話が出来、残高がなくなったときはメジャークレジットカードで補充することもできる。
このカードの利点は日本への国際通話だけでなく、アメリカ国内での市内通話、市外通話のどちらにも使用が可能なことである。国際・国内長距離・市内通話のいずれにも利用でき、しかも料金的にも非常に割り安という今時珍しくいいことずくめのテレホンカードである。
もっとも筆者がお世話したあるツアーの参加者は一切補充を行わず、1日1枚の割で日本に国際電話をかけ、残高が0になったところで『今日の電話はおしまい』としていたしっかり者もいた。すべからく使いようである。ただご注意いただきたいのがテレホンカードの番号の盗難である。
アメリカの非プリペイド型テレホンンカードに多いのだが、空港などで使用中、その番号を盗み見し、あとで勝手に使いまくるという悪質な行為が横行している。使用制限のあるプリペイドカードはたとえ盗まれたとしても被害額もおのずから限度があるが注意することに越したことはない。盗難防止策としては番号の打ち込みに際して、周囲にそれを見られないようにするのが唯一の手段である。
高い施設使用料を覚悟してホテルの客室からかける場合は電話機にかかれた要領に従って事前の番号を押し、011(国際回線)−81(日本の国番号)を押し、0を除いた市外局番を押し(東京ならば3)、電話番号を押せばよい。いずれにしても長話は財布に響くことだけはお忘れなく。
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