『ジョーク、ジョーク!!、ジョーク??』
アメリカ人はジョークの好きな人達が多い。テレビの番組を見てもゴールデンアワーにはどこかのチャンネルで必ずといってよいほどコメディー番組があるし、映画やミュージカルの一場面にも気の利いた冗談は欠かせない。
コロラドのあるベッドアンドブレックファースト(朝食付の宿)に数日間滞在したときである。同宿したアメリカ人の男性が朝食で皆がテーブルにつくと「今日の最初の冗談です」とブチはじめるのである。
しかしこのジョークというのが英語に余程精通していないとわれわれ日本人には非常にやっかいな代物であるのも確かである。映画館で映画をみていて、周囲が大笑いをしているにもかかわらず意味を理解できない自分一人はそれに参加することが出来ず口惜しい思いをする、などというのは筆者には日常茶飯事の出来事になってしまっている。
にもかかわらずスキー場を滑り歩いていると思わず噴き出したり、笑いはじめたりするような場面に出くわすものである。ここではそんな場面を紹介する。
<バーモント州、スマグラーズ・ノッチスキー場>

時速40マイル制限?誰がそんなにとばすか!!
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ちょっとわかりずらいかもしれないが写真中央の木の幹に掲げられた『40』の数字がご覧になれるであろうか。実はこれ、れっきとした道路交通標識なのである。
『制限速度・時速40マイル(Speed Limit 40)』の標識である。どこでかっぱらってきたのか(失礼!)この標識がこともあろうにダブルブラックダイアモンドのコース上に掲示されているから大笑いである。
マドンナ・マウンテン山頂をやや下ったところから始まるツリースキーコースは斜度、木と木の間隔、コース幅、コース全体の長さ共に一級品である。しかも斜面が右に左に蛇行し、非常に変化に富んだ起伏がある。
初めてのコースということも手伝って慎重にコース取りをしながら滑っているとコースなかほどにやや開けた空間が出現する。その先は二股に分かれたツリースキーコースが続くのだがその二股の境目の木に掲げられたのが40マイルの速度制限標識なのである。
『何だ、こりゃ!』に始まり、『ワハハハハッ!』、そしてしまいには『どうやったらこのコースをそんなスピードで滑れるんだ?』ということに落ち着く。
何の変哲もない交通標識が掲げる場所によってはこんなお洒落な飾りになるというジョークでした。
<モンタナ州、ビッグ・スカイスキー場>

ダブルブラックダイアモンドのトイレ?
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山の頂上につくられた小さな建物。それもリフト降り場やコーヒーショップからちょっと離れている。入り口は左右に2つ。右の扉には『Women』、左の扉には『Men』、とここまではどこにでもあるトイレの様相。
ところが2つの扉の真ん中にダブルブラック・ダイアモンド『エキスパート・オンリー』の標識が燦然と輝く。見た瞬間、『えっ、なにこれ?、どうしよう!』と、いささか戸惑いも含めて驚きと笑いがこみあげてきた。
1975年ごろであったか。札幌の手稲ハイランドスキー場のロープウェー山頂駅の男子トイレを思い出した。便器の前に張られた紙には『もう一歩前へ、よく狙って、発射!』と書かれているのである。子供心に大笑いしたもしたし、今から思えば管理者の苦労や工夫に頭が下がる。
ビッグ・スカイスキー場のサインも考えようによっては非常に意味深長な表示である。なにせ山のてっぺんにあるトイレ。暖房が入った水洗トイレは考えずらい。
東部のあるスキー場の山頂のトイレで目を覆いたくなるどころか使用するのもしりごみするようなトイレを目のあたりにして逃げ出した記憶もある。
そうかと思えば環境問題に真剣に取り組んでいるアメリカのスキー場の中にはこういった場所・施設の汚水処理にさえも非常な責任を果たしている場所もある。ジョークがジョークを越えてしまう例かもしれない。
<カリフォルニア州、カークウッドスキー場>

リフトは三途の川の渡し口?
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『黒地に白く描かれたるは不気味なドクロのマーク』。小説『宝島』にでてくる一節のようだが、実はカークウッドスキー場のエキスパートオンリーのリフトの乗り場とエキスパートコース入り口に表示されているマークなのである。
写真を見ておわかりと通り、かなり大きな表示で、絵柄も毒々しい。『This Lift Experts Only』といった注意書きをいくら書いても、どれほどたくさん張っても、しまいには係員がいちいちスキーヤーに口頭で上級コースであることを確認をしても、実力不相応のコースに入り込み、トラブルを起こすスキーヤーがあとをたたない。 いわゆる遠慮がちな日本人にはあまり見られないことなのだが、アメリカのスキー場でスキーヤーを観察していると、自分のスキー滑走能力を過大評価しているスキーヤーや、自分の能力を正しく認識していないスキーヤーが非常に多い。スキーヤーの性格、運動能力、過去にどれほどのスポーツの経験があるかといった様々な要因が絡まり合うとは思うが、それにしても・・・、というケースが実に多い。
バーモント州のキリントンスキー場のアウターリミッツと呼ばれる名物の急斜面がグルーミングと厳寒のためにがりがりのアイスバーンになったことがあった。30度以上の傾斜で、コブのコの字もないほどに見事に整地されたつるつる斜面に入ってきたのが中級スキーヤーに毛の生えた程度の男性。それも入り口にはロープがかけられおまけに警告文すら掲示されていたにもかかわらずである。
コースのスタートからちょっと降りたところで転倒。ストックを途中に残し、スキーと体だけが斜面を滑落する事になる。斜面に残されたストックを誰が取りに行くのか。このスキーヤーがスキーパトロールにお願いするならいざしらず、くって掛かっている姿を目の当たりにしたときには開いた口がふさがらなかった。
そんな事態を防ぐための一種の示威行動というか心理作戦である。最初はばかばかしいと思ったが意外にこれが効果的なようで、話をしたスキーパトロールが最後に出したVサインが印象的だった。意味の深いブラックユーモアである。
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