Travel Section / トラベルセクション


『ぼくの荷物が出てこない』



アメリカの空港は広い。
Baggage Claim Areaもまたしかり。
 飛行機で目的地に到着し、手荷物引き取り所のターンテーブルの周囲で『いつでてくるか、いつでてくるか』と自分の荷物がでてくるのを待っている。
周りの人の荷物はどんどんでてくるのに自分の荷物はいっこうにでてこない。『おいおい、大丈夫だろうな』が『本当にでてくるのかな』に変わり、そのうちに最後のに引き取られてベルトコンベアーさえ止まってしまう。
最後は『あーあ、でてこない。どうしよう。』である。

 海外旅行経験の多い方の中にはこんな経験をされた方も多いのではないだろうか。英語でロスト・バッゲージ(Lost Baggage)あるいはミッシング・ラゲージ(Missing Laggage)と呼ばれる航空会社の不手際である。
そしてアメリカ国内では残念ながらこのトラブルが非常に多い。その日の内に持ち主の手に渡れば非常にラッキー、2〜3日中に配達されればこれまたラッキー、2〜3週間かかって所有者に戻ればごくろうさま。そのまま紛失などということもないわけではない。
その件数の多さに目を付けたクレジットカード会社はロスト・バッゲージ保険(Lost Baggage Insurance)なる商品を開発する始末。
あまりのだらしなさに米国運輸当局が出発・到着時刻の正確さ達成率とともにトラブル発生率の報告を航空会社に義務づけるお粗末さ。
ここまでくると乗客も心得たもので出来るだけ機内に持ち込もうとするから機内の収納施設では容易に収まりきらず、乗務員・乗客共に四苦八苦するとなるともう笑い話である。出来るだけ機内に持ち込むとはいっても限界があるのは周知の通り。
ここでは出来るだけこの種のトラブルを避けるためのちょっとした工夫と残念ながらトラブルにあってしまった際の処置方法をお知らせする。



小さい空港のバゲージオフィス
一カ所で複数の航空会社のサービスを行う
 何事もトラブルは起きないのが一番。あるいは起こさないようにするのが一番である。防止策の第一は当たり前のようだが名札である。預ける全ての荷物のわかりやすい・見やすい場所に見やすく・はっきりと・大きく書かれた名札をつける。
旅行関係の仕事に携わった何年間のうちに色々な旅行カバンを見てきたが意外にこれが出来ていない。
まずつける場所。見やすい場所とはわかりやすい場所とはどこか。トランク、スーツケース、スポーツバッグのいずれも持ち手の場所のはずである。ところがカバンのサイドのそれも下の方だったり、持ち手にはついているのだがやたら小さかったり、とわかりにくいものが多い。運ばれた荷物を係員がみてすぐに認識できないような名札やタグでは話にならない。
そして名札そのものの見やすさも問題である。お洒落を気にしてか小さな文字でかっこよく書かれたものを時折目にする。この場合のお洒落はまさに無用の長物である。
団体旅行などの場合、団員用の共通の名札が用意されているはずである。これをわざと使わずに・・・という客もいた。何度もいうが取り扱う係員にとってわかりにくい名札は意味がないのである。
こんな質問もある。
『どうせチェックイン・カウンターで航空会社の専用タグをつけるのだから個人の名札など関係ないのでは・・・?』と思われるかもしれない。しかしその航空会社用タグが何らかの原因でとれてしまったからトラブルが発生することも考えられるのである。ましてや団体旅行の際にはとりまとめてチェックインする場合も考えられる。
まず基本は個人名の名札でる。よけいなこととは思うが海外にでる場合は必ず英語表記をすること。
全く別の話だが、アメリカから日本に郵便を出しだが宛先にJAPANを書き忘れたために漢字で書かれた郵便が日本ではなく香港へ送られややしばらく迷子になったあげく、差出人に戻されたことをきいたことがある。



大きな空港のバゲージオフィス
航空会社ごとにオフィスを持つ。
 先ほども述べたがチェックインの際に係員が自分の各々の荷物に確実にタグを取り付けるのを確認するのも重要である。預けたのはいいが係員が片方の荷物にはタグをつけたがもう一つには付け忘れた場合、ほぼ確実に荷物は届かない。

 さらにチェックインの時間を余裕を持って行うこと。
時間ぎりぎりのかけ込みの場合乗客はなんとか自力で飛行機に搭乗できるが荷物は他人まかせである。間に合わないことが多いし、仮に間にあったとしても、もしも乗り継ぎなどがあればあらかじめの乗り継ぎ用の仕分け作業から漏れてしまい乗客の次の飛行機に乗せられず、乗り継ぎ空港の荷物引き取り所のベルトコンベアーにでていってしまう可能性もある。

 少々考えすぎかもしれないが小さな荷物のチェックインは避けた方が良さそうである。他の荷物の陰に隠れてしまったり、どこかに紛れ込んでしまったりという状況も考えられる。小さな荷物は許される範囲で機内に持ち込むのが無難である。

 さてこれだけ努力をしても残念ながらトラブルは起こる。次の課題は起こってしまったトラブルにどう対処するかということである。
始まりは『荷物がでてこない』である。
でももう一度確認をしよう。待ち受けていたベルトコンベアーは正しい場所か。同じ都市から飛んできたフライトでも別の航空会社の場合も考えられる、同一の航空会社の同一都市からのフライトであっても前のフライトが遅れて着いたために隣り合って2つのフライトの荷物がでている場合もある。航空会社、フライトナンバーをきちんと確認する。
次はベルトコンベアーの周囲をよく見ること。他の人が間違えて取り上げたものの、間違いに気がついてその場におきっぱなしということもあり得る。やはり見つからない。



Documentation:
事の内容を書類化する作業である。
当事者、担当者のサイン等が入っている。
 次のステップは航空会社の係員にその旨を申し立てることである。ベルトコンベアーのそばに航空会社の係員がいれば彼(彼女)に"Missing Baggage"を伝え確認してもらう。意外にベルトコンベアーの積み込み口に取り残されている場合もある。
それでもダメならベルトコンベアー近くにある当該航空会社のラゲージ・サービスのカウンターへ行く。そこでミッシング・ラゲージを告げ、手続きをとる。
フライトナンバー、出発地、氏名、なくなった荷物の数を申告し出発地でチェックインの際渡された引換証(ラゲージ・タグ)を提示する。
ここで係員はその情報に基づいてコンピューターを使い荷物の在処を調べる。運が良ければここで荷物の所在地が明らかになる。
火急の用事でデンバーからニューヨークへ翌朝までに戻らなければならなかった筆者の場合、逆方向だが朝ニューヨークに到着する為にデンバー・ラスベガス・ニューヨークと乗り継いだことがあった。時間ぎりぎりのチェックインだった為、案の定荷物がラスベガスで置いてきぼりをくい、ニューヨーク・ケネディー空港のらゲージ・サービスカウンターで調べてもらったところ、6時間遅れでニューヨークに到着するとの明確な答えが返ってきた。
積み残しは積み残しなりにきちんと処置をしてくれていた。ニューヨークでの住所あるいは滞在先の住所、電話番号を申し述べ、コンピューターに入力してもらい配達の手続きをとる。配達はそれなりに時間がかかるのでそれを避けたい場合は自分でピックアップする方法もあるので自分にとってよりよい方法を依頼する。
たいていの場合それらをプリントアウトして渡してくれるので内容に間違いがないかを必ず確認すること。配達先の住所が違っていては更なる混乱を招くだけである。



内容の確認を確実に行うこと。
記入に間違いがあってはなにもならない。
 運悪くラゲージ・サービスカウンターで所在がつかめなかった場合は所在がつかめた時点で連絡をもらい上述のプロセスに至る。きちんとした係員の場合間違いなく連絡をくれるが24時間後には自分から電話をして確認するくらいの気持ちが必要である。
ポイントになるのは『荷物の所在の確認』、『コンピューターのプリントアウトの内容の確認』、『配達かピックアップかの確認』である。担当者の名前をメモするのも大事なことである。

 前述のデンバー発ニューヨーク着のトラブルに続き、復路のニューヨーク発デンバー着でもミッシング・ラゲージにあってしまった。しかも今度は航空会社に続き、航空会社が手配した配達会社までもが荷物を行方不明にしてしまったのである。一往復の旅行で3回も同様のトラブルにあうなどということは余りない。しかも2つの航空会社と1つの配送サービス会社にわたってである。
余談だが、配送サービス会社が配達してくるはずの日の昼食に中華料理を食べたところ食後のフォーチューン・クッキーの占い言葉が"You will Received your bag which you are waiting long time"(長い間待っていた荷物を受け取るでしょう)とでてきたのにはさすがに参ってしまった。何事も焦らずに1つ1つ問題をクリアーしていく姿勢が大切だ、ということであろうか。



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